保険業界人が明かす「LGBT向けビジネス」への“本音”
「お金を貯めること」は普遍的
2.老後問題
同性パートナーがいらっしゃる方の感覚として、「その人とずっと一緒にいるわけではなく老後は一人だろう」と思っているケースが多い気がします。
こうした人にとって老後の話は切実で、それに関する相談も多いのですが、問題の本質としては、いわゆる「おひとり様」と言われる独身男性/独身女性と何ら変わりません。「お金を効率的に貯めましょう」という話でしかなく、LGBTだからといって特別な条件が存在するわけではありません。
「ゲイ(もしくはレズ)専門の老人ホームが欲しい」といった声も多く、もしかしたら、今後そうしたビジネスが生まれる可能性もあるのです。
3.LGBTの「T」の医療保障
相談件数として意外に多いのが「T」(トランスジェンダー)の医療保険加入です。トランスジェンダーは性同一障害の人であり、性転換手術などを希望する人です(ここでは便宜上そう定義します)。
「T」にはホルモン剤の投与を受けている人が多いようです。性転換手術をした知人によると、ホルモン剤投与は「体調不良」「風邪を引きやすくなる」などの肉体的影響が大きいため、「入院時の保障が欲しい」と考える人が多いといいます。
しかし、これはかなり難しいと言わざるを得ません。個人的には、性同一障害を病気と呼ぶことに抵抗はありますが、医学的には「精神疾患」に分類される以上、ホルモン剤を投薬していれば、保険会社は「治療中」と判断します。そうなると、医療保険には加入できません。
相談に来られる方に「難しいです」とお伝えするのは心苦しいのですが、こればかりは仕方ありません。現実的には「解決できる問題」と「解決できない問題」があり、現場としては、「難しいことのほうが多い」というのが率直な感想です。
「差別」と「特別扱い」の区別は難しい
こうした問題は今後、企業が「LGBTに理解を」と声を上げることで、解決していくものも多いはずです。その半面、LGBT当人たちに話を聞くと、現在のブームを支持しながらも、一人の個人としては「放って置いてほしい」という“冷めた”意見も見られます。
「差別」でも「特別扱い」でもない――。そのバランスは難しいですが、相手を尊重し、いい意味で「放っておける」世の中になればと思います。
(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)

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