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「移住」なら近場? 沖縄、北海道? 首都圏在住者に聞いた希望地、決断のポイントは

専門家「現実を直視して対応を」

居住地別「移住したい都道府県」
居住地別「移住したい都道府県」

 続いて、不動産コンサルタントの田井能久さんにアンケート結果の分析などを聞きました。

Q.結果を見ての全体的な感想をお聞かせください。

田井さん「新型コロナを契機とした移住に関するアンケートですが、『首都圏から感染が少ない地方へ移住したい』といった趣旨の回答はほとんど見られず、旅行先を選んだような回答が多いと思いました。移住に対する希望は比較的少なく、移住そのものをしたくないか、移住しても首都圏内がいいという回答が多いのも印象的でした」

Q.上位の「九州・沖縄」「北海道」「近畿」と「首都圏内での移住」それぞれのメリット、デメリットは。

田井さん「沖縄や北海道は気候が良いとか、食事がおいしく旅気分を味わえること、近畿は歴史的な観光資源が多い京都にアクセスが良いのがメリットだと思います。首都圏内での移住は生活環境や教育環境が整っていることに加え、横浜や東京ディズニーランドに行きやすいのもメリットといえると思います。

一方、それぞれのデメリットとしては、沖縄なら台風シーズン、北海道なら雪のシーズンなど気象条件が大きく変わることが最大です。近畿圏は首都圏との文化的な違いがあることにデメリットを感じることもあると思います。首都圏内での移住の場合は、地方都市に移住することに比べて環境の変化がないことがデメリットといえるでしょう」

Q.「移住を考えていない」「条件が合えば考えたい」という人は仕事の確保や収入などに不安があるようです。

田井さん「移住を考えていない人の中でも、『心の底から移住したくない』ほど今の住環境が気に入っている人なら、移住を考えなくていいと思います。ただ、『移住もしてみたいけど、何かしらできない理由がある』状態なら、100パーセント完全移住でなくても、週末だけ2拠点生活をするとか、少しずつ、できることをしていけばいいと思います。新型コロナは大変な事態ではありますが、『本当に今の仕事を続けていいのか』とか『本当に○○がないと生活ができないのか』などと自分のライフスタイルを見直す機会にしてみてはいかがでしょうか」

Q.アンケートで挙がった不安、支障以外でよく挙がる移住の課題を教えてください。

田井さん「特に首都圏から地方に移住した場合、住居費が安いので『生活全般も安く済む』と考えがちですが、店舗の競合が少ないので意外に物価が高かったり、車の維持費や光熱費が多くかかったりして、生活コストがかさむことがあります。また、首都圏の人間関係から逃れても、性質が違うだけでどこでも人間関係は存在しますし、むしろ、田舎では都会以上にうまくやっていく必要があると思います。これらの対策としては、移住が『楽しくメリットばかり』と安易に考えず、現実を直視して対応することしかありません」

Q.移住を決断してもよいケースと、慎重に判断した方がよいケースについて教えてください。

田井さん「もともと、転勤族の家庭で育ち、引っ越しに慣れていて、生活環境の変化に順応する能力が高い人はいい意味で『撤退』の判断も速いので一度試してみるのもいいですが、生まれてからずっと同じ所に住んでいて、長年憧れた場所にコロナを契機に移住するのは慎重にした方がいいと思います。後者のような人は無理に時流に合わせず、コロナが落ち着いて、さまざまな環境を整えてからでも遅くないと思います」

Q.新型コロナウイルスの流行とテレワークの広がりによって、移住環境は大きく変わったのでしょうか。

田井さん「このアンケートで見る限り、あまり進んでいない印象です。しかし、それは見かけ上の数字であって、移住というか定住をせずに生きる(パーマネントトラベラー)考え方はもともとあり、その準備をしてきた人はコロナを契機に一気に実現している気がします。今回、すんなり移住を実現して、その楽しさを享受した人は次第に国内から海外へ移るのではないでしょうか。移住する人はどんどん移住し、移住しない(できない)人は全くしないという差が広がると思います」

Q.実際に移住を考える際のアドバイスをお願いします。

田井さん「旅行と混同している人も多いようですが、憧れやイメージだけでは絶対にダメで、生活をするために自分でよく考えるのはもちろん、一緒に行く家族と慎重に話し合って認識を共有することが必要です。しかし、そうはいっても、やはり移住しないと分からないことも多いので、最後は『えいっ』と始めてみる思いきりのよさもやはり、必要になるかと思います」

※この記事はオトナンサーとYahoo!ニュースによる共同企画で、Yahoo!ニュースが実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは3月10~17日、全国のYahoo! JAPANユーザーを対象に行い、2353人(東京都895人、神奈川県623人、千葉県377人、埼玉県458人)から有効回答を得ました。年代は30代21%、40代35%、50代以上31%が多く、男女比はほぼ6対4。職業は会社員58%が最多で、アルバイト10%、専業主婦(主夫)10%、自営業8%などでした。都道府県の地方区分は、衆院選のブロック分けを参考にしました。

(オトナンサー編集部)

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田井能久(たい・よしひさ)

不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー

大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドで資産評価業務を担当し、全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。海外事業も展開。1000件以上の評価実績を有する。滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」でもあり、2015年、マレーシアの企業と業務提携。MM2H(マレーシアの長期滞在ビザ)取得アドバイス業務を行い、自身も2018年にMM2Hを取得。名古屋地方裁判所の民事調停委員や愛知大学非常勤講師も兼務。

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