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新型コロナ「再感染」は珍しくないこと? ワクチン接種後の感染も?

新型コロナウイルスに2度目の感染をしたという報道が出てきています。新型コロナの「再感染」は珍しくないことなのでしょうか。

山崎静代さん
山崎静代さん

 お笑いコンビ・南海キャンディーズの山崎静代さんが、新型コロナウイルスに2度目の感染をしたとの報道がありました。山崎さんは今年1月に新型コロナ感染と診断され、自宅療養。その後、復帰して芸能活動を続けていましたが、7月下旬に再び、陽性となったそうです。新型コロナの「再感染」は珍しくないことなのでしょうか。医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。

変異株影響の可能性も

Q.新型コロナウイルスに感染して、陽性と診断された人が陰性となってしばらくしてから、再感染することは珍しくないのでしょうか。

森さん「現時点では“まれ”とみられていますが、イギリス、イスラエル、アメリカ、デンマーク、シンガポールなどで、過去に感染した人の追跡調査が行われ、“再感染”、あるいは“再感染の可能性が高い”事例が確認されています。4月に医学雑誌『ランセット』に掲載された、イングランド公衆衛生庁(PHE)による約2万6000人の医療従事者を対象にした調査研究では、感染経験がある8278人のうち155人(およそ1.87%)の再感染が明らかになりました。

3月に同じく『ランセット』で、デンマークの感染症疫学・予防担当局の研究チームが約400万人を対象にした調査結果を発表。調査開始以前に感染経験があった1万1068人のうち、調査期間中に2度目の感染が判明したのは72人(およそ0.65%)だったと報告されています。このように、再感染は各国から報告がありますが、どの報告も確率は低いことが示されています。

しかし、調査の対象者以外で『再感染しても無症状のために気付かなかった』ケースも考えられるため、厳密にはどのくらいの確率で再感染が起きているかは分かっていません」

Q.なぜ、再感染するのでしょうか。

森さん「一般的には『感染して獲得した抗体によって、再感染を防げる』と考えられていますが、初回の感染で獲得した抗体の量が少なかったか、時間とともに減少して、感染防止に必要な量に満たなくなった、あるいは変異株(変異ウイルス)の流行によって、過去に感染した人が再感染する可能性が考えられます。

横浜市立大学の研究グループが、昨年2月から5月の間に新型コロナウイルス(従来株)に感染した回復者250人を対象に、ウイルスの働きを抑え感染を防ぐ力があるとされる『中和抗体』の量を調べたところ、ほとんどの人で、感染から1年後も感染防止に必要な量が残っていました。

ただし、その保持率は感染した際に軽症や無症状だった人では96%で、重症や中等症だった人の100%と比較すると、再感染のリスクが若干あるとも考えられます。また、変異株に対しては、感染を防ぐのに必要な中和抗体の量を持つ人の割合が低下し、特に軽症や無症状だった人は注意が必要であることも分かりました」

Q.では、新型コロナに一度かかって回復、もしくは無症状で陰性になったからといって、安心はできず、一度かかった人もワクチン接種が望ましいということでしょうか。

森さん「現時点で既に、過去に感染した人の再感染が報告されているので、『一度かかったから大丈夫』ではないと思います。アメリカ疾病対策センター(CDC)やカナダ公衆衛生庁は『既感染者であるかどうかに関係なく、ワクチン接種を受けるべきだ』という見解を示しています。

日本の厚生労働省は『新型コロナワクチンQ&A』で『感染した人もワクチンを接種でき、現時点では通常通り2回接種(が必要)である』と案内しています。同時に『一度感染しても再度感染する可能性があることと、自然に感染するよりも、ワクチン接種の方が新型コロナウイルスに対する血中の抗体の値が高くなることが報告されていることから、接種を推奨する国がある』ことも説明しています」

Q.ワクチンは抗体を作って発症を抑える仕組みだったと思いますが、ワクチンを打っても感染、発症する可能性はあるということでしょうか。その場合、接種の意味は。

森さん「新型コロナのワクチンは従来株に対して、高い確率で発症を防ぐ効果があるという臨床試験の結果により、緊急使用承認されました。実際に接種した人のデータを集めた研究から、重症化を抑える効果も高いだろうと期待されています。

日本では、65歳以上の高齢者の優先接種が先行して始まり、8月6日時点で65歳以上の8割以上が2回接種を完了していますが“第5波”といわれる現在の感染拡大において、高齢者の入院は減り、重症化や死亡も抑えられていることからも、ワクチンの重症化予防の効果は明らかです。

一方、感染予防についても高い効果があるのではないかと考えられていますが、『ブレークスルー感染』と呼ばれる、ワクチン接種を完了して、2週間以上経過した後に感染が確認される例が各国で報告、注目されています。国内では、国立感染症研究所が全国の自治体と医療機関への問い合わせをもとに行った調査で、4月1日から6月30日のまでの3カ月間で67人のブレークスルー感染が確認されたとの報告がありました。ただし、この67人の中に重症化した人はいませんでした。

また、7月に医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』オンライン版に発表されたイスラエルの報告では、ファイザー・ビオンテック製ワクチンの2回接種を完了した医療従事者1万1453人のうち1497人がPCR検査を受け、39人(およそ2.6%)の再感染が確認され、多くは軽症か無症状だったとあります。

こうした結果から、ワクチン接種が完了して一定期間経過しても、まれに感染することがあり、基本的な感染対策の継続が必要なことが示唆されますが、重症化を防ぐ高い効果から、ワクチン接種の意義があることは明らかです」

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森まどか(もり・まどか)

医療ジャーナリスト、キャスター

幼少の頃より、医院を開業する父や祖父を通して「地域に暮らす人たちのための医療」を身近に感じながら育つ。医療職には進まず、学習院大学法学部政治学科を卒業。2000年より、医療・健康・介護を専門とする放送局のキャスターとして、現場取材、医師、コメディカル、厚生労働省担当官との対談など数多くの医療番組に出演。医療コンテンツの企画・プロデュース、シンポジウムのコーディネーターなど幅広く活動している。自身が症例数の少ない病気で手術、長期入院をした経験から、「患者の視点」を大切に医師と患者の懸け橋となるような医療情報の発信を目指している。日本医学ジャーナリスト協会正会員、ピンクリボンアドバイザー。

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