「自分はダメだ」と責める前に…新生活で陥る“完璧主義”のワナ 心理カウンセラーが説く「自分を許す思考法」
完璧主義になるあまり、ネガティブ思考に陥ってしまうのを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。心理カウンセラーに聞きました。

4月は就職や転職、異動など、多くの人にとって新しい環境に身を置く機会が多くなる時期です。「新しい環境に早く慣れなくちゃ」「頑張らなくちゃ」と考えるのは自然なことですが、必要以上に頑張ろうとしたり自分はダメだなと卑下してしまったりすることはありませんか。
「完璧主義」的な思考が強いと、自分に求めるハードルが高くなりすぎてしまい、メンタルの不調に陥ってしまうことも。それはまさに、真面目な人ほどハマりやすい「ワナ」と言えるかもしれません。そんなとき、自分の心とどのように向き合ったらよいのでしょうか。ネガティブな思考にとらわれない方法について、心理カウンセラーのうるかすさんに聞きました。
新しい仕事に慣れるには3カ月以上かかる
Q.周りの期待に応えようと必死になるあまり、ミスをするたびに自分を責めてしまう人がいるようです。どうすれば「自分を許す」ことができるのでしょうか。
うるかすさん「ミスや失敗があったとき、『自分のどこがよくなかったんだろう』と反省や自己分析をしてみたり、『このままじゃダメだ』と改善策を模索してみたりなど、ビジネスの場面では自分自身を厳しく律することがプラスに働くこともあります。
傾向として、真面目、完璧主義、責任感が強いといった人が、このような考えに至りやすいといわれています。しかし、『常に自分を否定する』『必要以上に卑下してしまう』など、『自責思考』があまりにも強くなってしまうと、自己肯定感の低下や精神的なストレスを助長させてしまうリスクが考えられます。
さらに、良くないことが起こったらすべて自分に責任があると感じてしまい、事実との整合性が取れなくなってしまうと、周囲との人間関係に影響を及ぼす可能性も考えられるでしょう。
先述のように、自責は反省や改善を促す思考の原動力になることもあり、必ずしも改善が必要というわけではありません。ただし、『何をやってもダメ』『全部自分のせい』など、明らかに過剰な自己批判を繰り返してしまっている場合は、考え方の癖を少しずつ転換させていく必要があります。
もしも『自分を許してあげる』、つまり『自己受容』をしたいけれども何から始めたらよいのか分からない人もいるでしょう。まず自分の気持ちを客観視するために、自分を責めそうになったときの気持ちをノートなどに書き出すのがお勧めです。この段階では無理に意識を変えなくてはいけないと考える必要はなく、ご自身が思うままに書きつづっていただいて大丈夫です。
思考様式の修正については、直接的に考え方を変えようとするよりも、安全感や承認される体験を通して内的な焦りが和らぎ、その結果として思考の幅が自然に広がっていくことが重要であると示唆されることもあります。
次に、今ご自身が書かれた気持ちやモヤモヤ、後悔などの気持ちを改めて見返してみましょう。これまでは頭の中にあったものが文字として書き起こすことで、感情や気持ちを冷静に客観視できるようになり、考え方の癖や事実との相違点が現れることもあります。
この段階で気付いた点をもとに、『発想の転換』をしてみましょう。例えば、1つのミスがあると『もう全部ダメだ』と考えてしまうのであれば、『確かに失敗したこともあったけれど、できたこともあった』と整理します。そして、『できなかったことを改善するためにはどうするか』というように、ポジティブな気持ちの転換を目指すようにすると、ネガティブな思考パターンから抜け出しやすくなり、自己受容にもつながりやすくなります」
Q.就職や転職、異動などで新しい仕事に取り組んでいる人の中には、「最初はできなくて当たり前」とアドバイスを受けても焦ってしまうケースがあります。脳の仕組み上、新しい仕事に慣れるにはどれくらいの期間が必要ですか。
うるかすさん「『新しいことを覚えて習慣化させる』ことができるようになるには、個人差はあるもののおおよそ3~6カ月程度かかるといわれています。特に新しい職場環境になった場合は、ただ業務内容だけを覚えればよいというわけではないですよね。
また、組織独自のルールであったり、人間関係の構築であったりと、覚えなければならないことが多いものです。早く覚えて完璧にこなそうと思うと、かえって焦りや不安などの影響によりパフォーマンスが低下してしまう可能性もあります。特に最初の1カ月のうちは、『新しい環境に慣れる』という認識にとどめましょう。業務に対してのクオリティーを上げるのは次の段階に入ってから、と意識するとよいですね。
ちなみに、人間の脳は情報を整理するための『短期記憶』と、それを忘れないように保管するための『長期記憶』の2種類があります。短期記憶の段階では、脳の中で一時的に保管しているようなイメージで、時間の経過とともに少しずつ忘れてしまいます。
『一度覚えたはずなのに忘れてしまった』『何度かやっているはずなのに思い出せない』ということが起こるのは、短期記憶の状態のまま記憶が定着させられなかったことが原因となっているからです。そのため、習慣やルールを定着させるためには『長期記憶』として保管されるようになるまで、繰り返し復習をする反復学習が非常に重要となります」



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