オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「BUCK‐TICK」櫻井敦司さんも…急に発症「脳幹出血」の怖さとは? なりやすい人&予防法を医療ジャーナリストに聞く

10月19日に亡くなった「BUCK‐TICK」の櫻井敦司さんを襲った「脳幹出血」とは、どのような症状だったのでしょうか? 原因や防ぐ方法を医療ジャーナリストに聞きました。

脳幹出血とは?
脳幹出血とは?

 人気ロックバンド「BUCK‐TICK」のボーカリスト・櫻井敦司さん(57)が、10月19日、脳幹出血のため亡くなりました。そこで、脳幹出血とはどのような症状なのか、また原因と防ぐ方法を医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。

高血圧の人は注意

Q.脳幹出血とはどのような症状(病気)なのでしょうか? いわゆる脳出血、脳いっ血とは違うのでしょうか?

森さん「脳の血管(動脈)が破れて出血することで血のかたまりができ、それによって脳の組織に障害を起こす病気を総称して『脳出血』といいます。同じ意味で使われてきた『脳いっ血』という呼び方は、医師はしません。

『脳幹出血』は、脳出血の一つで、大脳を支えるような形で脊髄につながっている『脳幹』という部分に出血が起きてしまった状態で、脳出血全体の1割程度と報告されています。多くは大脳の深部にある『被殻』や『視床』に発症します。

脳幹は、呼吸する・心臓を動かす・消化する・体温を調節するなど生命を維持するために必要な機能の調節や、眼球や舌などの運動・平衡感覚の調整などに関わる重要な器官であり、出血する場所や出血の大きさによってさまざまな症状があらわれます。

めまいや吐き気、頭痛、物が二重に見える、うまく飲み込めない、顔や手足の感覚異常や麻痺などが見られたり、重症の場合は突然意識がなくなったり呼吸が停止するなど生命に関わる場合があります」

Q.どのようなタイプ、生活習慣、食生活などをしているとなりやすくなるのでしょうか?

森さん「血圧が高いと、脳出血の発症頻度が高いことが明らかになっています。高血圧は最も大きなリスク要因で、動脈硬化を進行させ、さらに圧がかかり続けることで血管が破れやすくなるからです。習慣的な喫煙、過度の飲酒も脳出血の発症に関わると考えられています。

そのほかに、高血圧のリスク要因として塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、体質(遺伝)が考えられます。喫煙習慣、過度な飲酒、栄養の偏りやカロリー過多の食事は改善する必要があります」

Q.脳幹出血の初期症状などはありますか? また、どのような症状が出たら病院で受診すべきでしょうか。

森さん「突然発症し、意識障害や呼吸障害など危険な状態に陥ります。出血が小さい場合、眼球の動きや位置の異常、見え方の異常などが比較的高い頻度で起こりますが、症状の中には他部位の脳出血に共通するものもあります。

取材した鎌倉脳神経MRIクリニック・院長の根本哲宏さんによると『高血圧性の脳幹出血は意識障害で搬送されることがほとんど。慢性的に血圧が高い人は脳出血のリスクが高いことを自覚し、片方の手足が動かしづらい、ろれつが回らないなど、普段と異なる症状が突然出た場合は、迷わず救急要請してください。意識や呼吸に異常がある場合は一刻を争います』といい、救急要請が重要であることが分かります」

Q.なるべく脳幹出血にならないようにするためには、どうすればいいのでしょうか?

森さん「脳出血に共通して言えることですが、予防のためには最大のリスクである血圧を正常範囲に管理することが重要です。すでに治療をしている人は自己判断で中断したりせず、かかりつけ医の指示をしっかり守ってください。健康診断などで血圧が高いと指摘されている場合も放置せず、生活習慣の見直しと改善をした上で、必要な場合は再検査を受けてください」

(オトナンサー編集部)

【危険!】心当たりがあったら、やめた方が良い! 「脳出血」を起こしやすい生活習慣7つ 一挙公開!

画像ギャラリー

森まどか(もり・まどか)

医療ジャーナリスト、キャスター

幼少の頃より、医院を開業する父や祖父を通して「地域に暮らす人たちのための医療」を身近に感じながら育つ。医療職には進まず、学習院大学法学部政治学科を卒業。2000年より、医療・健康・介護を専門とする放送局のキャスターとして、現場取材、医師、コメディカル、厚生労働省担当官との対談など数多くの医療番組に出演。医療コンテンツの企画・プロデュース、シンポジウムのコーディネーターなど幅広く活動している。自身が症例数の少ない病気で手術、長期入院をした経験から、「患者の視点」を大切に医師と患者の懸け橋となるような医療情報の発信を目指している。日本医学ジャーナリスト協会正会員、ピンクリボンアドバイザー。

コメント