病院の窓口で「医療費高くない?」 6月の「診療報酬」改定が原因かも…仕組みを専門家に聞く
2026年6月に診療報酬が改定されましたが、どのようなことが変わったのでしょうか。専門家に聞きました。

2026年度の「診療報酬」の改定が6月1日に施行されました。同月1日以降に受診した際、病院での会計時に「以前よりも医療費が高い」と感じた人は多いのではないでしょうか。そもそも、診療報酬とはどのようなものなのでしょうか。また診療報酬は基本的に2年に一度、改定されるといわれていますが、今回、どのような点が変わったのでしょうか。医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。
医療機関のコスト増に対応
Q.そもそも、診療報酬とはどのようなものなのでしょうか。
森さん「診療報酬とは、病院や診療所、薬局が行う診察・検査・治療・処方などに対して、国があらかじめ決めている“公定価格”のことです。原則2年に一度、医療の進歩や社会状況に合わせて見直され、改定されます」
Q.2026年度の診療報酬改定で、具体的にどのような点が変わったのでしょうか。
森さん「2026年度の診療報酬改定の大きな狙いは、物価上昇や円安によるコスト増で厳しくなった医療機関の経営を支えることで、本体部分の伸び率が3%を超えたのは約30年ぶりです。
メディアで『病院の6~7割が赤字』と報じられているように、光熱費や医療機器、システム維持費、材料費、人件費などが大きく上がったほか、円安の影響もあり、診療報酬だけではまかないきれない状況が続いています。今回の改定では、こうしたコスト増を補うための評価を手厚くし、医療機関が必要な医療を続けられるよう支えることが柱になっています。
また、地域の中で病院の役割を明確にし、必要な機能に応じて診療報酬を配分することで、地域での病院の集約化や再編につながる方向性を後押ししています。
さらに、見守り機器や情報共有システムなどを活用した医療DXによる業務の効率化を評価し、人手不足を補えるような仕組みづくりも進められました」
Q.具体的に変わった点について、教えてください。
森さん「今回の改定の主な変更点は、まず物価上昇や賃上げに対応するための追加報酬が設けられました。また、救急車の受け入れが多い病院や、手術件数が多い高度急性期病院には、より手厚い報酬が支払われます。
さらに、医師不足が深刻な外科分野では、外科手術を担当する医師への報酬を引き上げ、外科医療を維持することを目指しています。このほか、見守りや記録共有に通信機器を使うなど、DXで業務を効率化し一定の要件を満たした場合には、看護職員の配置基準の緩和が認められる仕組みも導入されました。
全体として、医療提供体制の確保と、デジタル化による効率化を後押しする方向に重点が置かれた改定となっています」
「物価対応料」「ベースアップ評価料」が2027年6月に再度引き上げ
Q.2026年6月の診療報酬の改定により、患者にはどのような影響が生じているのでしょうか。
森さん「診療報酬が上がるということは、患者の自己負担も増えるという側面があります。医療機関を受診したときに、窓口で支払う金額が少し変わります。
まず、初めて受診するときの『初診料』は、これまでと同じ2910円です。そこに、物価上昇に対応するための物価対応料20円と、賃上げを進めるためのベースアップ評価料170円が上乗せされます。ベースアップ評価料は、届け出をしている医療機関のみが対象になります。
また、2回目以降の『再診料』は、これまでより10円増えて760円になります。さらに、物価対応料とベースアップ評価料として40円が加わります。患者が窓口で払うのは、この合計額の1~3割です。
入院した場合の『入院基本料』も、病院の機能によって金額は異なりますが、今回の改定で全体的に引き上げとなっています。
先述のように診療報酬は原則として2年に一度改定されますが、物価対応料とベースアップ評価料が、2027年6月にもう一段引き上げられます」
Q.今回の改定に合わせ、診療の予約に関してキャンセル料を設けている医療機関もあります。この制度の仕組みについて、教えてください。
森さん「あらかじめ地方厚生局に届け出をした医療機関は、『予約に基づく診察』として、保険適用外(選定療養)の予約料を患者に請求する『有料予約』の枠を設けることができます。例えば、『大学病院の〇〇教授の有料予約枠』とか、『時間を確約する内視鏡検査の予約』などがあります。
こうした『予約に基づく診察』を患者の都合で直前にキャンセルした場合に『キャンセル料』を請求できるという内容の通知を厚生労働省が出しました。
キャンセル料を請求できる対象は届け出を出している医療機関の有料予約であり、予約に費用がかからない一般的な予約は対象ではありません。また、事前に説明をして同意を取っていることと、キャンセル料が発生することを院内のポスター掲示やホームページなどで周知することが前提となっています。
キャンセル料が発生する、しないにかかわらず、予約に対して医療スタッフの配置や器具や薬剤の準備を行っていることを認識し、やむを得ない事情を除いて直前のキャンセルはしないようにしたいものです」
(オトナンサー編集部)(医療ジャーナリスト 森まどか)





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