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「世界観」なき若者へ 書を捨てよ、旅へ出よう【後編】

スティーブ・ジョブスもインドを放浪した

 私はアイスランドという小さな島国で、冬にオーロラを見たことがあります。あれはよほど気温や天候の条件が良くないと、肉眼では白い雲にしか見えません。ところが「オーロラはいつも緑色」だと思っていると、実際にオーロラを見た人からは軽んじられます。しかし、くだらないことですが、「オーロラは白い雲でしかなかった」という実体験は、話に広がりが生まれて、人間関係を親密にするきっかけになるでしょう。これはビジネス上でも、プライベートでも「得」です。オーロラを見たことがなければ、見た人の話をじっくりと聞きましょう。それもコミュニケーションを深くするチャンスになります。これが抽象概念の「世界観」です。

 結局、「世界観が広いと得をする」という話に帰結します。バブルの終わりかけに自分たちが海外旅行体験をした中高年層も、自分たちが若かった頃に体験した感覚が今の年齢でどんな風に「得」となっているかを思い起こすべきです。その具体性があればあるほど、若者への説得力が帯びてきます。情報通信ツールの発達で世界が近くなったのではなく、自分の世界が狭くなったのでは意味がありません。

 ビートルズを持ち出すまでもなく、アップルのスティーブ・ジョブスだって、若い頃にインドを放浪した経験が発想の転換となり、既存のコンピューターセオリーとは違う自分の「世界観」を築いたことは有名なエピソードになっています。違う世界を旅することは、違う自分を育む種になる、かもよ、なのです。

(辛口社会エッセイスト サイゴー・ヴァン・ウィンクル)

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サイゴー・ヴァン・ウィンクル

辛口社会エッセイスト

1960年代生まれで学生時代は「新人類」と呼ばれた。バブルを満喫した一方で、暗黒の不況時代の辛苦も味わった「酸いも甘いも知り尽くした」悲しいジェネレーション。シニカルにして小心者。得意とするのは、池上彰が教えてくれない社会時評。ナポリタンと椎名林檎をこよなく愛する。

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