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中年オヤジどもよ、若者に正否を説くな。損得を説け!【前編】

「最近の若い奴は」という大人の苦言は、何も現代に限った話ではありません。しかし、それは、経年劣化した大人が既成の常識にノスタルジーを抱いているにすぎない、と筆者は主張します。

「最近の若者は」はオヤジの常套句

 いつの時代でも「若者」と称される集団は不思議な存在です。「最近の若い奴はなっとらん!」と、愁眉(しゅうび)の俎上(そじょう)にのるのは、現代だけではありません。明治時代の新聞にも既にして「昨今の若者は」という“大人の苦言”があります。

 その理由は単純です。自分たちもかつては「若者」であった「大人」たちが経年劣化して、変化する社会に順応する柔軟性を失い、既成の常識(それは自分たちが「若者」であった時代の規範でしかないのですが)にノスタルジーを抱いているだけに過ぎません。ですから、「今の若者は劣っている」といった価値基準は「老いぼれが馬鹿言ってらあ」くらいに聞き流せばよいのです。

 もっとも、60代後半以降のアナログ主流派であれば、今の「若者」は火星人に思えるでしょう。しかし、現在の40~50代は「アナログからデジタルへの移行」を体感してきた世代。ある程度は「デジタル思考」に理解があるはずです。そんな彼らですら、「今の若者は冥王星人みたいだ」と嘆いているように見えます。

 その理由も至って簡単です。物心つく幼児期からデジタルツールに囲まれている「若者」たちと、アナログの残滓(ざんし)を知っている40~50代が「デジタルしかなかった若者」とまったり融和できるはずがありません。同じ国技館が会場でも、相撲とプロレスではルールが基本的に違うようなものです。

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サイゴー・ヴァン・ウィンクル(さいごー・ばん・うぃんくる)

辛口社会エッセイスト

1960年代生まれで学生時代は「新人類」と呼ばれた。バブルを満喫した一方で、暗黒の不況時代の辛苦も味わった「酸いも甘いも知り尽くした」悲しいジェネレーション。シニカルにして小心者。得意とするのは、池上彰が教えてくれない社会時評。ナポリタンと椎名林檎をこよなく愛する。

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