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自閉症の息子は「5歳」になっても言葉を発しない…焦る母に主治医が告げた「真理」

主治医の言葉「言葉をいくら教えても…」

うどん店で食事を楽しむ息子(立石美津子さん提供)
うどん店で食事を楽しむ息子(立石美津子さん提供)

 息子が3歳のとき、周りのよくしゃべる子やママ友を見て焦り、小児精神科の主治医に「言葉を話すようになるトレーニングを受けたい」と申し出ました。

 けれども医師は一言、「お母さん、言葉をいくら教えても単に単語数が増えるだけで、これを操ってコミュニケーションを取れるようにはなりませんよ」と告げました。

 5歳を過ぎてもオムツが外れないことについても、「何度教えてもトイレでおしっこができない。どうしてもオムツを取りたい」と訴えました。でも、担当医師には「お母さん、オムツだけを取っても、オムツだけが取れた赤ちゃんのままです。言葉の発達も、オムツが取れることも、全体発達の中でできるようになっていくものです」と言われました。

 息子がうどん店で「まだ食べる!」と言ったとき、主治医に言われたこれらの言葉を思い出しました。言葉だって、それだけが独立して発達するわけではなく、「あの子と遊びたい」「あのおもちゃを取り返したい」という気持ちが生じることで発せられるもの。全体発達の中で出てくるものなのです。

 何事も、強い動機があることで人は動きます。息子の場合は「うどんを最後の1本まで食べたい。このことを、器を下げようとしている店員に伝えたい」という動機でした。

 知人である重度の自閉症の青年が、リンゴの銘柄を「陸奥、ジョナゴールド、王林、世界一…」と正しく言えても、それはコミュニケーションではなく、単語を並べているだけでした。「ママ、このリンゴ、おいしそうだね」「このリンゴ、買ってほしい」といった会話にはなかなか発展しません。

 言葉だけのトレーニングをしても、単語を「覚えるだけ」。これを使って「話す」ようになるまでには、時間がかかることがあります。ただし、単語だけを発していても、それが本人の要求や興味のあることならば、それも「立派な会話だ」と受け取ることも、親側には必要な姿勢だと感じます。なかなか難しいですけれどね。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

【画像】「えっ…そうだったの…?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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