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「障害のある子は天使」なんて本当に言わないでほしい 「吐き気がするほどつらい」現実…“天使”の言葉に追い詰められた母親の日々

「障害のある子は天使」。自閉症の息子を育ててきた筆者は長年、この言葉に苦しめられてきました。障害児とともに生きる親が抱える“本音”です。

「障害児は天使」の言葉に苦しみ… ※画像はイメージ
「障害児は天使」の言葉に苦しみ… ※画像はイメージ

「障害のある子って、天使だよね」。この言葉、よく言われます。多くの場合、それを言ってくるのは当事者ではない人たちのように思います。ただし、時には、障害児を育てている親御さんの中にも、そう語る人がいます。でも、知的障害を伴う自閉症の息子を育ててきた私にとって、この言葉はとても受け入れがたいものでした。

「天使でも悪魔でもなく、ただの“人間”」

 私の息子には「自傷・パニック」「強いこだわり」があり、子育てが本当に大変でした。心の中で「普通の子だったらどれだけ楽だっただろう」「普通の子が欲しかった」と思ってしまう日もありました。そんな気持ちのときに「障害のある子は天使だよね」なんて言われたら、正直、吐き気がするほどつらいです。

 あるとき、幼稚園の園長先生と食事をしていたとき、私が「うちの子は障害があって」と伝えた瞬間、「でも、そういう子って才能あるし、天使ですよね」と言われました。その先生は息子を見たこともなく、ただ“障害がある”という言葉だけで、テンプレートのように言ってきたのです。

 私は心の中で叫びたかったです。「うちの子は、天使でも悪魔でもなく、ただの“人間”です」と。

 ダウン症のお子さんにも、性格が穏やかで“天使のよう”と言われるような子もいれば、意地悪な子もいます。そして自閉症のお子さんにもさまざまな性格があります。それはどんな人間でも同じで、障害があるからといって“美化”するのは違うのでは、と思います。

 もちろん、親自身が「うちの子は天使」と言うのは自由です。けれども、定型発達の子どもを育てる人が、障害児の親に向かって「天使だよね」「才能あるよね」と言うのは、正直、やめてほしいです。私たち障害児の親は、ただでさえ日々葛藤しながら、時には「普通の子だったら」と比べながら、それでも何とか子育てに向き合っています。

 現実として、特別な才能があっても、それを仕事にできる人はほんの一握り。それは定型発達の人も同じです。「才能があるからいいじゃない」と言われても、それで食べていけるわけではありません。そんな一言で、救われるわけではないのです。

【画像】「えっ…?そうだったの……?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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