「スマホのバッテリーが切れた…」 他人に頼まれ「モバイルバッテリー」を代理レンタル 持ち去られたら“犯罪者”に?
レンタル式のモバイルバッテリーを他人の代わりに借りた際、その機器をそのまま持ち去られてしまった場合、名義人である自分が法的責任を負う可能性はあるのでしょうか。弁護士に聞きました。

駅やコンビニなどにはレンタルタイプの「モバイルバッテリー」が設置されています。スマホの専用アプリを使って借りるのが一般的で、スマホのバッテリーが残り少ない時に便利です。
ところで、SNS上では見知らぬ人に「スマホのバッテリーが切れて借りられない。レンタル代金を出すので、モバイルバッテリーを代わりに借りてほしい」と頼まれて引き受けたところ、現物を持ち去られてしまったという内容の情報が上がっています。この場合、借りたモバイルバッテリーを第三者に貸したということで、レンタルした人が機器の弁償や刑事責任を問われる可能性があるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
横領罪に問われる可能性は低いが…
Q.他人から「スマホのバッテリーが切れたから、代わりにモバイルバッテリーを借りてほしい」と頼まれ、善意で代わりに借りてあげたとします。もしモバイルバッテリーを持ち去られてしまった場合、最初にアプリなどを通じてレンタルした本人は、運営会社に対してどのような法的責任を負うのでしょうか。「盗まれた」という言い訳は通用するのでしょうか。
牧野さん「残念ながら『盗まれた(だまし取られた)』という言い訳は運営会社に対しては通用しないでしょう。
例えば、国内最大手のモバイルバッテリーシェアリングサービス『ChargeSPOT』の利用規約では、第三者への貸与自体は許諾されています。ただし、その第三者が製品を紛失したり破損したりした際の責任は、すべて借りた本人が負うと明記されています。そのため、相手が機器を持ち去り、その後返却されなかった場合、利用規約により、契約者本人は違約金・補償金の支払いを求められます。
ChargeSPOTの場合、レンタル開始から120時間(5日間)が経過しても返却されない場合、利用料と違約金の合計で4080円(税込み)の支払い義務が生じます」
Q.持ち去った第三者はもちろん罪に問われると思いますが、代わりに借りて渡してしまった本人も、横領罪の加担などに問われる可能性はあるのでしょうか。
牧野さん「第三者に貸す目的でレンタルし、その相手が持ち去った場合、貸した人には『自分のものにする意思(不法領得の意思)』がないため、一般に窃盗罪や横領罪には問われないでしょう。
しかし、他のサービスなどで『また貸し』が規約で禁止されている場合には、運営会社側からアカウント停止などのペナルティーを受ける可能性はあるでしょう。一方で、持ち去った相手には返却する意思がなく持ち去ったとして、横領罪や詐欺罪が成立する可能性があります」
Q.もし街中で見知らぬ人から「スマホのバッテリーが切れたから、代わりにモバイルバッテリーを借りてほしい」と頼まれた場合、トラブルに巻き込まれないために、どのように対応するのが正解でしょうか。また、どうしても助けたい場合の「安全な境界線」はありますか。
牧野さん「持ち去った相手に対しては、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求ができますが、連絡先が分からなければ、親切で貸した人が数千円を負担させられることになってしまいます。相手の事情にかかわらず断るべきです。
どうしても助けたい場合で、後日法的に追及できるように相手から運転免許証など身分証明書を見せてもらったとしても、その人が詐欺師であればその身分証明書自体が偽造されたものであるかもしれませんので、相手の事情にかかわらず全てお断りするべきです。
他人からモバイルバッテリーを代わりに借りてほしいと頼まれた場合、オレオレ詐欺や警察官詐欺と同様、全て詐欺だと考えて親切心を持たないことが重要です」
Q.もしこうした詐欺の被害に遭ってしまった場合、だまし取られた本人は警察に相談をすべきでしょうか。
牧野さん「貸した人は、詐欺や横領の被害者であることは間違いないため、警察に相談し、被害届の提出などをすべきです。しかし加害者が特定できないケースが多く、負担した補償金は通常は戻ってこないでしょう。多くの被害者がいて、後に犯人が特定された場合には戻ってくる可能性はあります」
(オトナンサー編集部)







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