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自閉症の息子は「5歳」になっても言葉を発しない…焦る母に主治医が告げた「真理」

幼い子を育てる親の関心事である「発語」。5歳になっても言葉を発しなかった自閉症の息子を見守りながら、筆者が感じたことは――。

自閉症の息子が発した「初めての言葉」は…(画像はイメージ)
自閉症の息子が発した「初めての言葉」は…(画像はイメージ)

 言葉を年相応に話せるようになるかどうかは、幼い子を育てている親にとって、とても気がかりなこと。まず、単語が出て、それが「ごはん食べる」「お外行く」などの2語文になってきて、親にいろいろ要求するようになってくるとうれしいものです。しかし、発達障害の子の中には、単語が増えても、それがコミュニケーションにつながっていかない子がいます。

息子は5歳まで言葉を話さなかった

 子育て本著者・講演家の私には、現在24歳になる自閉症の息子がいます。

 息子は5歳まで言葉を一切話しませんでした。知的障害も伴っていたせいなのか、通常、1歳児が発する「ブーブ」「マンマ」といった類の喃語(なんご)も出ず、2歳を過ぎても3歳を過ぎても話すことはありませんでした。

 保育園の送迎時、ママ友の子どもたちがイヤイヤ期を迎え、「嫌だ、嫌だ」と言葉を発しているのを見て、うらやましく思いました。

 そんな息子が6歳になる直前、渋谷のうどん店に連れて行ったときのこと。店員が、うどんの切れ端が1本残っていた食器を「お下げいたします」と持って行こうとしたそのとき、息子が一言放ったのです。

「まだ食べる!」

 単語ではなく、相手に自分の意思を伝える立派な言葉で、店員とコミュニケーションを取ろうとしていました。

【画像】「えっ…そうだったの…?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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