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疲れに悩む人に朗報? 酸素の利用効率を高める注目成分「ケンフェロール」とは 老化の最新研究を専門家に聞く

西洋わさびに多く含まれている注目成分「ケンフェロール」について、大塚製薬の担当者に聞きました。

ケンフェロールが多く含まれている西洋わさび(山わさび)
ケンフェロールが多く含まれている西洋わさび(山わさび)

 加齢とともに、日々疲れを感じることが増えた人は多いのではないでしょうか。こうした中、植物由来成分である「ケンフェロール」は、野菜や茶葉などに含まれる成分として知られ、近年さまざまな研究が報告されています。ケンフェロールとはどのような成分なのか、どのような観点で研究が進められているのかについて、大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業グループ研究開発本部 先端科学研究所 所長で、ピッツバーグ大学医学部非常勤教授の池田泰隆さんに聞きました。

「酸素の利用」に注目して研究を開始

Q.そもそも、ケンフェロールとはどのような成分なのでしょうか。基本的な特徴やどのような食品に含まれているのかについて、教えてください。

池田さん「ケンフェロールは、植物に含まれるポリフェノールの一種で、フラボノイドに分類される成分です。ブロッコリーやケールといった野菜をはじめ、さまざまな植物に含まれていることが知られています。特に西洋わさびの葉には比較的多く含まれており、食品由来の成分として古くから知られてきました。

近年では、食品中の成分が私たちの健康にどのように関与するかという観点から、ケンフェロールについてもさまざまな研究が進められています」

Q.数ある食品成分の中で、ケンフェロールに注目された背景について教えてください。どのような観点から研究を進めているのでしょうか。

池田さん「私たちは、人が活動する上で欠かせない『酸素の利用』に着目して研究を進めてきました。その中でヒントになったのが、高地などの低酸素環境で生活する人々です。このような地域では酸素が少ない環境でありながら、フルマラソンで世界的に活躍する選手が多く、高い運動パフォーマンスを発揮することで知られています。その背景には、生活習慣や食事の影響もあるのではないかと考えました。

そこで、世界中から341種類の高原食材を集めて解析を行った結果、細胞レベルの評価系において、エネルギー(ATP)産生に関与する能力が高かったのがケンフェロールでした。それまで一般的には抗酸化作用や抗炎症効果が注目されていましたが、私たちは『エネルギー産生』という新たな切り口から研究を進めています」

Q.ケンフェロールは西洋わさびの葉などに多く含まれるとされていますが、今回、研究対象として注目した理由について教えてください。

池田さん「ケンフェロールはさまざまな植物に含まれていますが、その含有量には違いがあります。

私たちが世界中の植物素材を対象に調査・比較した結果、西洋わさびの葉に含まれるケンフェロールは、検討した素材の中で特に高い含有量を示しました。この知見を踏まえ、安定的にケンフェロールを摂取できる食品素材としての可能性に着目し、西洋わさびの葉を原料として活用する検討を進めてきました。

一方で、植物中のケンフェロールは多くの場合、糖と結合した『配糖体』という形で存在しています。この形では、日本人の腸内細菌の特性上、約4割しか吸収できない可能性があることも分かっています。そこで私たちは、独自の技術により糖を切り離した『アグリコン』という形に加工することで、すべての人が吸収できる形にしました」

Q.ケンフェロールについては、これまでどのような研究知見が報告されているのでしょうか。

池田さん「細胞レベルの研究では、ケンフェロールの働きにより、細胞が酸素の少ない環境下でも効率的にエネルギーを生み出す方向に代謝を調整する可能性が示唆されています。

また、ヒト試験においては、ケンフェロール摂取による体内の酸素利用効率の改善や、運動パフォーマンスの向上、身体活動量の増加など、日常生活における幅広い場面での有用性が確認されています。

睡眠の質との関連については、身体活動量の増加などを介した間接的な影響が示唆されています。

さらに現在、米国で進めている共同研究では、『老化の縮図』とも言われる宇宙環境において、ケンフェロールが動物やiPS細胞由来の3次元組織(オルガノイド)における老化様変化を軽減する結果も得られています。詳細な解析は現在も継続中です」

Q.ケンフェロールを食品として取り入れる際に、どのような点が今後の研究課題になるとお考えですか。

池田さん「ケンフェロールは食品由来の成分である一方で、ヒトにおける作用の全体像については、まだ発展途上の段階にあります。今後の研究課題としては、主に3点あると考えています。

1つ目は、個人差の解明です。腸内環境や代謝の違いによって、吸収性や体内での働きには個人差があることが分かってきており、どのような人々にどのような形で摂取いただくことが適切かを明らかにする必要があります。

2つ目は、作用メカニズムのさらなる解明です。エネルギー産生や酸素利用との関連については知見が蓄積しつつあります。生体内の複雑なネットワークの中でどのように機能しているのかについて、DNA、RNA、タンパク質、代謝物質などの生体分子全体を網羅的(包括的)に調査・解析する、いわゆる『オミクス解析』などを通じて統合的に理解していくことが重要です。

3つ目は、日常生活との関係性の最適化です。食事や運動、睡眠といった生活習慣との相互作用の中で、ケンフェロールがどのような役割を果たし得るのかを明らかにし、無理なく生活に取り入れていただける形でのエビデンス構築が求められています。

私たちは、単一成分としての効果を強調するのではなく、『日常の生活の質を支える選択肢の一つ』として、科学的根拠に基づいた価値を提示していきたいと考えています。また、私たちは『老いるとは、単に弱っていくことではなく、体の中の環境が少しずつ変化していくこと』と捉えています。

その中で、エネルギーの使い方や酸素の利用といった観点から、日常の健康を支える仕組みの理解と社会実装を進めていきたいと考えています」

(オトナンサー編集部)

【豆知識】知らなかった…これが注目成分「ケンフェロール」を多く含む“意外な食材”です!

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