オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

北京冬季五輪開催の中国、コロナ禍での東京五輪をどう見ている?

もし中国選手が感染したら…

Q.中国政府は東京五輪支持を鮮明にしていますが、仮に中国選手が日本で新型コロナに感染して欠場となっても、支持を続けると思われますか。

青樹さん「中国選手が日本で感染して、五輪を欠場したとしても、東京五輪に対する支持は続くと思います。最初に述べたように、北京冬季五輪とリンクしているからです。もちろん、日本の感染対策への批判は湧き起こるでしょうが、『日本は失敗した。しかし、中国は失敗しない』という方向に進むと思います。昔だったら、『すべて日本が悪い』と騒ぎ立てたと思いますが、今は冷静に報じるのではないでしょうか。今回の卓球の反応を見ても、いろんな意味で、中国社会は成熟し始めているように感じます」

Q.中国の人々の北京冬季五輪への期待感はどうなのでしょうか。ウイグル問題で欧米から厳しい声も出ていますが。

青樹さん「ウイグル問題は中国では敏感な政治問題で、庶民の声が出づらい部分です。欧米の一部で北京冬季五輪のボイコットの声が出ていますが、メディアでは『茶番で終わる運命だ』と主張しています。どの国も正式に賛同しておらず、バッハ会長と習近平国家主席との電話会談でも、バッハ会長が『五輪を政治問題化するのは反対だ』と話しているからです。この時、習近平氏も『中国は北京冬季五輪を成功させる力がある』と強調しました。『ウイグル問題は事実ではない』というのが中国の基本姿勢なのです。

ただ、今後、何が起きるか予測できません。もし、ウイグル問題が五輪に影響すると、中国政府が本気で考えたら、落としどころを探っていくだろうと思います」

(オトナンサー編集部)

1 2 3

青樹明子(あおき・あきこ)

ノンフィクション作家・中国社会情勢専門家

早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了。大学卒業後、テレビ構成作家や舞台脚本家などを経て企画編集事務所を設立し、業務の傍らノンフィクションライターとして世界数十カ国を取材する。テーマは「海外・日本企業ビジネス最前線」など。1995年から2年間、北京師範大学、北京語言文化大学に留学し、1998年から中国国際放送局で北京向け日本語放送のキャスターを務める。2016年6月から公益財団法人日中友好会館理事。著書に「中国人の頭の中」「『小皇帝』世代の中国」「日中ビジネス摩擦」「中国人の『財布の中身』」など。近著に「家計簿から見る中国 今ほんとうの姿」(日経プレミアシリーズ)がある。

コメント