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春は1年で最も「睡眠」乱れる季節? 熟睡につなげる5つの処方箋とは【精神科医が解説】

春に睡眠の質が低下する理由や対処法などについて、精神科医に聞きました。

春に睡眠の質が低下する原因は?
春に睡眠の質が低下する原因は?

 春は気候が穏やかであり、夏や冬よりも眠りやすいと感じる人は多いのではないでしょうか。一方で、SNS上では「春なのに眠れない」など、睡眠に関する悩みの声が上がっています。春に眠れない場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。神谷町カリスメンタルクリニック(東京都港区)院長で精神科医の松澤美愛さんに聞きました。

春は自律神経の乱れで睡眠の質が低下

Q.暖かくなる春に眠れなくなるケースがあります。この場合、季節的なものが原因なのでしょうか。それとも不眠症の疑いがあるのでしょうか。理由も含めて教えてください。

松澤さん「『春眠暁を覚えず』ということわざを聞いたことがある人は多いことでしょう。これは中国の唐代を代表する詩人の孟浩然(もうこうねん)の言葉で、『春の夜は眠り心地が良く、夜明けに気付かず寝過ごしてしまうこと』を意味しています。

これは単に寝坊してしまったという意味だけではなく、春の日の朝の心地よさや眠り続ける幸せな気分を表しているとされています。暖かくなる春、そのように気持ち良く眠れるとうれしいのですが、実は、春は一年の中でも最も睡眠が乱れやすい時期であるといわれます。その主な要因は次の通りです」

■春は寒暖差が大きい
寒い冬が終わり、暖かい春を迎える頃、季節の変わり目には急な気温変化が起きます。朝晩は冷え込み10度前後に、日中は暖かくなり22度前後に、という日が多くなってきます。

自律神経は日中活動するための交感神経と、夜間リラックスして休むための副交感神経との調整を行っていますが、元来、自律神経が調整できる1日の気温差は7度までといわれており、それ以上の変化が起きやすい春には自律神経の調整が難しくなり、睡眠にも影響が出てしまうのです。

■生活リズムの変化
入学や就職、転職、職場の異動など、春は環境の変化が起きやすい時期です。そんな新生活に向けての準備や、実際に新生活が始まってからの慣れない毎日により、就寝時間、起床時間のリズムが乱れやすくなります。これにより体内の時間軸を調整する体内時計が影響を受け、「寝つきにくい」「寝ても目が覚めてしまう」「早くに起きてしまう」「ぐっすり寝た気がしない」などの睡眠不調が出やすくなります。

■新生活への過剰適応
新生活の変化は必ずしも大きく環境を変えた人だけに起こるものではありません。同じ職場内でも役職の変化、新入社員の入社により職場の雰囲気の変化など、また進級した学生もクラス替えや担任の先生の交代など、変化は多く起こります。

それは本人だけではなく、支える家族にも当てはまります。例えば、「今までは給食だったのに、急に毎日お弁当を作らないといけなくなった」ということもあります。

誰もが少なからず変化を感じ、そしてみんな最初は慣れない中で周囲の期待や環境に無理に合わせようとしてしまいます。そんな過剰適応は心身に負担をかけ、体は疲れているのに脳は不安や緊張で休まらないという状況を作り、睡眠に影響を及ぼします。

春に眠れないのは、これら3つの複合的な要因から影響を受けやすいと考えられます。

Q.では、春によく眠れないときの対処法について、教えてください。

松澤さん「すぐに実行できる対処法として、次の5つの取り組みがお勧めです」

■規則正しい生活を心掛ける
自律神経にかかる負荷を軽減し、スムーズな調整ができるように就寝時間、起床時間を一定に整えましょう。

■朝日を浴びる
セロトニンの分泌が促され、体内時計が正しい形にセットされます。外出が難しい場合は窓際で日光に当たることでも効果はあります。

■適度に体を動かす
気温差による自律神経の乱れには、全身の血流を改善させる運動やストレッチが効果的です。セロトニンの分泌を増やし、良い睡眠につながるほか、気分転換やストレス解消にもなります。

■入浴習慣をつける
シャワーではなく湯船につかることで自律神経の調整が行われ、活動モードの交感神経からリラックスモードの副交感神経に切り替わります。就寝の1時間半前までに入浴を済ませると、体の中心部の温度である「深部体温」が下がって入眠しやすくなるとされています。

■睡眠環境の調整
静かで気持ちが落ち着く空間作りを心掛けましょう。明日に向けて、いろいろな情報も気になるところですが、それはまた翌日に持ち越しましょう。就寝前はスマホやパソコンなど、電子機器の使用はなるべく避けてください。リラックスできる音楽を聴いたり、映像を眺めたり、ゆったりとした気持ちで過ごしましょう。

Q.春によく眠れないとき、医療機関を受診する目安はありますか。

松澤さん「先述の眠れない場合の対処法やセルフケアなどを実践しても改善が認められない時、眠れない日々が一定期間続く場合、それにより日中の活動に影響が出てしまう場合は受診をお勧めします。

もし眠れない日が数日間続いたとしても日常生活への影響がなければ少し様子を見ることもできると思います。また眠れないだけではなく、食欲低下や興味の減退などを認める場合、その他にも気になる症状を伴っている場合、例えば『ひどいいびきがある』『足がむずむずする』『睡眠中にもかかわらず、大きな声を出してしまう』『昼夜逆転』などがある場合は不眠症以外の疾患の可能性があるため専門家の受診をお勧めします」

(オトナンサー編集部)

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松澤美愛(まつざわ・みあ)

精神科医、「神谷町カリスメンタルクリニック」院長

東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年、東京都港区虎ノ門で「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業。精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会。神谷町カリスメンタルクリニック(https://charis-mental.com/)。Instagram(https://www.instagram.com/charismentalclinic)。

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