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肩、腰の“コリ”がなかなか治らない…実はがん!? 「年齢のせい」と放置した体に起きている“想定外の事態”

肩や腰のこりがひどく、整形外科に行ってもなかなか治らないという人がいます。この場合、がんの可能性はあるのでしょうか。整形外科専門医に聞きました。

肩こりや腰痛がなかなか治らない場合、がんの可能性も(画像はイメージ)
肩こりや腰痛がなかなか治らない場合、がんの可能性も(画像はイメージ)

 仕事やプライベートでパソコンやスマホを使う機会が多く、肩こりや腰痛に悩まされるケースは珍しくありません。ただ、中には肩や腰のこりがひどく整形外科に行ってもなかなか治らないという人がいます。この場合、がんの可能性はあるのでしょうか。受診目安や対処法について、まえだ整形外科リウマチクリニック(兵庫県尼崎市)院長で、整形外科専門医の前田俊恒さんに聞きました。

整形外科に通っても「数カ月治らない」場合は要注意

Q.肩や腰のこりや痛みがなかなか治らない場合、どのような原因が考えられますか。例えば、がんの可能性はありますか。

前田さん「肩こりや腰痛は、多くの人が経験する身近な症状です。厚生労働省の国民生活基礎調査でも、日常生活における自覚症状の上位に常にランクインするほど、私たちにとって日常的な体の不調の代表格です。その原因のほとんどは、長時間のデスクワークやスマホの使用、運動不足、姿勢の悪さ、加齢による変化などです。

例えば、肩こりであれば首や肩の筋肉の疲労や血行不良、腰痛であれば腰の筋肉や背骨の負担が原因になっていることが少なくありません。また、四十肩・五十肩、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄(きょうさく)症などの整形外科の病気が隠れていることもあります。これらは適切な休息や投薬、リハビリテーションによって、多くの場合は数週間から数カ月で症状が和らぎます。

一方で、整形外科に通って治療やリハビリを受けたり、生活習慣を改善したりしているにもかかわらず『何カ月も症状が改善しない』あるいは『むしろ悪化している』という場合、そこには思わぬ重大な病気が隠れていることがあります。

『なかなか治らない痛み』の中には、まれにがんが関係している場合もあります。特に注意したいのは『骨転移』です。骨転移とは、別の場所にできたがんが骨に広がることをいいます。骨に転移すると、骨が弱くなったり炎症が起こったりして痛みが生じます。例えば、肺がんや乳がん、前立腺がんなどが骨に転移すると、肩や背中、腰の痛みとして現れることがあります。

ただし、肩こりや腰痛があるからといって、すぐにがんを疑う必要はありません。実際には、肩こりや腰痛の大部分はがんとは関係のない良性のものです。大切なのは、『いつもの肩こりや腰痛と何か違う』と感じる症状がないかどうかです。痛みが長く続く場合や、後述するような注意すべきサインがある場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします」

「夜間痛」や「進行性の痛み」が起きるのはなぜ?

Q.がんが原因で肩や腰のこりや痛みが生じる場合、がんはどの程度進行しているのでしょうか。

前田さん「がんが原因で肩や腰に痛みが出る場合、多くはがんがある程度進行した段階であると考えられます。がんの初期段階では、腫瘍がまだ小さく、周囲の組織や神経を刺激していないため、自覚症状はほとんどありません。

特に骨転移が原因の場合は、原発巣(最初にできたがん)が存在し、そこから骨へ広がっている状態です。がんが骨に転移すると、骨が弱くなったり炎症が起こったりして痛みが出ます。骨転移は肺がん、乳がん、前立腺がんなどで比較的よくみられます。

ただし、『痛みがある=末期がん』というわけではありません。近年は検診やCT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像法)などの画像検査の精度が向上しており、比較的早い段階で見つかることもあります。また、がんの種類によっても進行のスピードや症状の出方は大きく異なります。

むしろ大切なのは、『年齢のせいだろう』『肩こりだから仕方ない』と決めつけて放置しないことです。特に、これまで経験したことのないような痛みや、どんどん悪化していく痛みがある場合には、一度検査を受けることが大切です」

Q.なぜ「夜間痛」や「進行性の痛み」が起こるのでしょうか。

前田さん「普通の肩こりや腰痛は、活動を止めて筋肉を休ませれば炎症が治まり、痛みは軽減します。しかし、がんの痛みは『腫瘍の増殖』そのものが原因です。がんは24時間休みなく増殖し続け、周囲の骨を破壊し、神経を圧迫し続けます。そのため、安静にしても痛みが消えることはありません。

さらに、夜間は自律神経の働き(副交感神経の優位)やホルモンバランスの変化、また日中のように他の刺激がないために痛みに敏感になること、さらには就寝時の寝返りなどで骨の内圧(骨内圧)が高まることなどが重なり、『夜中に激痛で目が覚める』というがん特有の症状が現れやすくなります」

(オトナンサー編集部)

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前田俊恒(まえだ・としひさ)

まえだ整形外科リウマチクリニック 院長、医学博士、整形外科専門医、リウマチ専門医、リハビリテーション科専門医

肩こり・腰痛・関節痛などの慢性疼痛から、関節リウマチ、骨粗しょう症、スポーツ障害まで幅広く診療。

日常生活に根ざした運動指導・セルフケアの啓発にも力を入れている。肩や膝、腰の痛みなど日常の体の不調や身近な健康情報についても、医学的根拠に基づいた分かりやすい解説を行っている。まえだ整形外科リウマチクリニック(https://maedaseikei.jp)。

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