父を亡くした保険屋が思う「葬儀」の不誠実
「人質」に取られた共済金
こんなことに気付かないくらい皆慌てていたということでしょう。「既に支払っている」ことと、全国展開している上場企業という安心感もあり、すぐに連絡したところ、迅速に父を自宅まで運んでもらえました。しかし、提示された葬儀費用は、先ほどの複数社の見積もりよりも割高で、そこから父が積み立てた「共済金」が差し引かれている、というものでした。
つまり、葬儀費用の一部を父が生前に「前払い」していただけということになります。しかし、改めて広告を見るとあたかも全てをまかなってくれる印象で、不都合なことは小さな文字で記載があるのみ。共済金の範囲でできることは先述の「○○万円セット」と同じレベルです。
いま振り返れば、こうした共済制度よりも、複数社に「競争」させた方が安価になる可能性が高いのではないでしょうか。むしろ、前払いしてしまえば、共済金という「人質」を取られているようなもの。少しくらい高くてもその会社にお願いするしか選択肢がありません。実際、今回も前払い分の共済金を引いて「他社と同じ水準」になりました。父がどこまで理解していたのかは不明ですが、「家族に迷惑をかけたくない」という老人の心を逆手に取っているのなら、怒りを禁じ得ません。
その後も、指定した「香典返しの品」を間違えるなどのミスがあり、葬儀後に責任者から謝罪されましたが、驚いたのはスタッフの大部分が実は「業務委託」であり、その葬儀共済を主催する大手企業の社員ではないことです。話を聞くと、ほとんどのスタッフは地元の小さな葬儀業者で、この時も「当日の当番」である個人事業主が説明に来ました。大企業が会場を作り、広告を打って「会員」を集める、そして葬儀は地場の中小業者に丸投げするという構図です。

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