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本場中国に存在しない「中華料理」、同名でも異なる「中華料理」

中国では水餃子が一般的

 さらに、日本人が大好きな餃子(ギョーザ)も、本場中国ではちょっと違います。

 日本では焼き餃子が一般的ですが、中国では水餃子が一般的。中国語で焼き餃子は「鍋貼(グオティエ)」、水餃子は「水餃(シュイジャオ)」。水餃子は生の餃子をゆでて湯切りし、タレにつけて食べます。中国の東北地方や北京などでは主食として、ご飯の代わりに食べるという人も多いです。

 焼き餃子にしても水餃子にしても、日本では具が主役で、皮は脇役だと思っている人が多いと思いますが、中国は逆。具よりもむしろ、皮のモチモチ感を重視する人が多いため、皮を手作りします。

 盛りつけ方も異なります。いつの頃からか、日本の中華料理店や餃子専門店では、焼き餃子は焼き目を上にして盛ることが一般的となりましたが、中国ではこれも逆。焼き目が下になります。

 日本のいわゆる「羽根つき餃子」は焼き上がる前に、鉄鍋に小麦粉を溶いた水を流し、餃子に羽が生えているように見せますが、中国人の目には「なぜ日本の焼き餃子はわざわざ羽根をつける必要があるのか?」と不思議に映ります。

 日本人の多くはあまり意識していませんが、日本の町中華は、日本人の好みに合わせて次第に変化していった日本独自のものなのです。

(ジャーナリスト 中島恵)

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中島恵(なかじま・けい)

ジャーナリスト

山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学留学。中国、香港、韓国など主に東アジアの社会、ビジネス事情などについて執筆している。著書は「なぜ中国人は財布を持たないのか」「日本の『中国人』社会」「中国人は見ている。」(いずれも日本経済新聞出版社)「中国人エリートは日本をめざす」(中央公論新社)「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(プレジデント社)など多数。

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