不妊、老後不安、介護…「熟年再婚」の落とし穴を経験した3人の男性たち
心筋梗塞で後遺症、介護費用が家計圧迫
4人目は、親の介護費用に困っている上大岡浩紀さん(58歳、会社員、年収500万円)です。
熟年男性が再婚する場合、彼女だけでなく彼女の両親に対しても責任を負うことを自覚すべきです。彼女が熟年なら両親は老年。亡くなっている可能性もありますが、健在なら近い将来、病気やけがで倒れ、後遺症をもたらした場合、身の回りの世話や日常生活の介助、病院や施設の手配、そして金銭的な援助を強いられるので注意が必要です。
「大変なことになりました! 彼女の母親が心筋梗塞で、病院に運ばれたんです!!」
そんなふうに眉間にしわを寄せ、鬼気迫る表情でぶちまける浩紀さん。6年の別居を経て3年前に前妻との離婚が成立。妻を納得させるために、600万円(ボーナス月に30万円×年2回×10年)を支払うことを約束せざるを得なかったようです。
あまりにも別居が長引き、全く顔を会わせず、ほとんど連絡も取らず、離婚から逃げ回っている妻を説得するには仕方なかったようです。そして、間髪入れず、離婚前から交際していた彼女(56歳)と籍を入れたのですが、彼女の母親(76歳)が倒れたというのです。
「おかげさまで手術は無事成功し、目を覚ましたのですが後遺症をもたらしてしまい、今までのような生活は難しいと先生に言われたんです! 彼女はとてもショックを受けていましたが僕だって大変です。どうしたらいいでしょうか? まだ支払いも残っているのに…」
浩紀さんは愚痴をこぼしますが、母親は彼女が4歳のときに夫(彼女の父親)と離婚して以来、女手一つで彼女を育て上げたそうで、彼女がほとんど唯一の肉親。彼女が高校を卒業後、都内の会社へ就職し、部屋を賃貸して以降、母親は一人で暮らしていたのでほかに頼る先がありませんでした。
そんな彼女を見かねた浩紀さんは「うちに来てもらってはどう?」と投げかけたのです。浩紀さんはいまだに前妻との結婚生活で購入した一戸建て住宅に住んでいますが、前妻と子が出て行って部屋が余っているので、要介護3の母親を引き受けることが可能でした。
しかし、在宅で介護をするのは負担が大きいので、彼女はパートタイマーの仕事を辞めざるを得ず、月10万円の収入を失うことに。もちろん、週2回のペースでデイサービスを利用し、母親の食事や入浴、排せつを頼んだり、デイケアを利用し、リハビリを任せたりして彼女の負担を軽減しようと努めたのですが、施設の利用料は毎月3万円で、ますます浩紀さんの家計を圧迫していたのです。
彼女の収入減と母親の支出増によって、浩紀さんは前妻へ支払っている慰謝料の負担を重く感じていました。そこで、離婚以来初めて前妻へ連絡を取ったそうです。「とにかく緊急事態なんだ。30万円を10万円にしてくれないか?」というメールを送ったのです。
彼女の母親も「シングルマザー」という意味では前妻と同じです。浩紀さんは「(前妻は)当然のように同情してくれるはず」と思い込んでおり、「大変だったね。それなら、しょうがないね」と二つ返事で応じてくれると完全に侮っていたのですが…前妻の反応は浩紀さんの予想とは正反対でした。


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