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“やればできる”もNG? 親がつい言ってしまう「余計な一言」、子どもの気持ちは…?

子育ての場面では、親としての責任感や子どものためを思う気持ちから、つい、「余計な一言」が出てしまうことがあります。しかし、その一言が子どもの心に少なからず、影響を及ぼしているかもしれません。

つい、余計な一言が…
つい、余計な一言が…

「親として、わが子をしっかり育てたい」との思いからか、つい出てしまう「余計な一言」があります。親としては子どものためと思って言っているのでしょうが、果たして、言われた子ども本人の心はどうでしょうか。親がつい言ってしまいがちな「余計な一言」を紹介しましょう。

「できたね」とシンプルに褒める大切さ

【「やればできる」】

 親が望んでいたことをできていない子どもに対して、「○○(子ども)なら、やればできる」と励ます親――。しかし、もしかしたら、子どもにとって、それは「今は全くできていない」と言われているも同然かもしれません。たとえ努力しても、どうしても成功に結び付かないこともたくさんあります。だからこそ、目標に向かって努力している過程を評価して、「頑張って練習しているね」と口にしてあげた方がよいと思います。

【「これからもそうしてね」とくぎを刺す】

 親が「片付けなさい」と言わなくても、自らおもちゃ箱に積み木を片付ける子。何も言わなくても食器を下げる子。その光景を見てうれしく思ったママは「まあ、お兄さんになったね」と言いました。しかし、その後、「なーんだ。やればできるじゃない。今度からも、ママに言われなくても片付けてね」。こう言われて、子どもの心はドヨーンと急降下しました。

 頑張ったことについて「やればできる」と言われ、未来のことにも「やらないかもしれない」という疑いから、前もって、くぎを刺されたからです。親はシンプルに今のことだけ、「できたね」と喜んであげてほしいです。

【頑張った成果にけちをつける】

 宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を暗唱している子がいました。父親がその様子を見て、「すごいな。こんな難しい詩を覚えているなんて」と褒めました。しかし、その後、父親はその詩の“雨”の漢字を指さして、「この字は何て読むんだ?」と聞きました。ただ、耳で聞いて、歌のように覚えているだけの子どもは「分からない」と答えました。

 すると、父親は「何だ、読めないのか? 耳で覚えているだけなのか」と吐き捨てるようにつぶやきました。その言葉を聞き逃さなかった子どもはそれ以降、親の前でこの詩を口にすることは二度とありませんでした。これはかつて、私が指導していた子どもの家庭で実際に起こったことです。

【「パパは4歳のときにはできていた」】

 鉄棒の逆上がりに苦戦していた5歳のわが子。練習を積み重ねて、逆上がりができるようになりました。成功して喜んでいる子どもにパパが「成功したな。偉いぞ、頑張ったな!」と褒めました。しかし、次の瞬間…。「でも、パパなんか、4歳のときにはできていたぞ」と昔の自慢話。大人げない父親に、過去の自慢話を引き合いに出され、比較された子どもは一気に気持ちが沈んでしまったそうです。

【すぐに次の課題を言う】

 野菜が嫌いなわが子が頑張って、トマトを1かけら食べました。ママは喜んだ後、「明日は2かけら食べてね」とすぐに次の課題を言いました。明日のことを思うと、子どもは何だか暗くなってしまったそうです。「食べることができたね」と素直に喜んであげてほしいです。

子どもへの「言い方」にも注意

【すぐにダメ出し】

 コップに入ったお茶を、お盆にのせて運んでくれた子どもをママは「まあ、手伝ってくれてありがとう。助かるわ」と褒めました。しかし、その後、子どもはよろけて、お茶をこぼしてしまいました。すると、ママが「ほら、しっかり手元を見ていないからよ。今度からは気を付けてね」とダメ出しをしたのです。

 こんなふうに言われると、子どもは「二度とお手伝いはしたくない」と思ってしまうでしょう。こんなときは、こぼしたお茶を子どもに雑巾で拭かせ、これもお手伝いしてくれたことに含めて、「しっかりと後始末していて偉いね」と言ってあげてはどうでしょうか。

【余計な「は」を付ける】

「今日は頑張ったわね」と褒められた子ども。しかし、「今日“は”」という言い方が引っ掛かります。前日はできていなかった場合に「今日も頑張ったわね」とは言ってもらえないとしても、「今日、頑張ったね」の方が、まだましな言い方だと感じませんか。

【泣いた子どもに「弱虫ね」】

 友達におもちゃを取られて、泣いたわが子。「強い子になってほしい」という親の気持ちが強すぎて、つい言ってしまった一言が「弱虫ね。悔しかったらバシッとやり返しなさい」。つらくて、慰めてほしくて、ママの前で泣いたのに「弱虫だ」と言われると、子どもは気持ちの行き場を失ってしまいます。「やり返せるくらいだったら、泣かないよ…」とも思うかもしれません。

【「やることをやってから、遊びなさい」】

 子どもが宿題になかなか取りかからないと、親としてはつい、「やることをやってから遊びなさい!」と注意したくなります。この場合、「やること=宿題」です。これではますます、「宿題=嫌なこと」と定着しかねません。こういうときはシンプルに「宿題をやってから遊ぼうね」と促した方がよいと思います。

 言った後になって、「ああ、言ってしまった」と気付く余計な一言。他人の子どもには決して言わないようなことも、親子間だと遠慮がなくなり、つい全部、口に出してしまうものですが、「言いたい」と思っても口に出さず、親の願いとして心にしまっておきましょう。その方がきっとうまくいきますよ。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)。

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