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「ご自由にお使いください」…大阪・アメリカ村にあった放置自転車対策の看板が話題に、本当に使ってもOK?

「不要自転車です。ここの放置自転車はご自由にお使いください」と記された大阪・アメリカ村の放置自転車対策の看板が話題に。現在はもう存在しないようですが、文言通りに自転車を持ち帰った場合、どんな法的問題があるのでしょうか。

看板通りに自転車を持ち帰ったら…(写真はイメージ)

 大阪・アメリカ村に設置された、放置自転車対策の「看板」が斬新だとSNS上で話題になっています。その看板には「不要自転車です。ここの放置自転車はご自由にお使いください」との文字が。これについて「良い対策」「さすが大阪」などと好意的なコメントが集まる一方「持っていっても窃盗にならないの」「ほんとにやれって話じゃないでしょ」といった疑問の声も上がりました。

 アメリカ村を含むエリアを管轄する市岡工営所の担当者によると、看板が置かれていた現場は御堂筋から西に1本入った通り。看板は1つで裏表に「不要自転車です」と記されていたそうです。SNS上で話題になって間もなく、警察から連絡を受けた担当者が現場へ。犯罪を助長する恐れはあるものの設置者不明のため無断で撤去できず、その日は張り紙をして引き上げましたが、1週間後のパトロールで既になくなっていたといいます。現場は日常的に放置自転車が多い一帯ですが、結局誰が置いたのかは不明だそうです。

 こうしたケースで、立て看板通りに自転車を持っていく行為や、看板を設置する行為に法的問題はないのでしょうか。オトナンサー編集部では、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

遺失物等横領罪にあたる可能性も

Q.自転車を持って行っても問題ないのでしょうか。

牧野さん「『放置自転車』が本当に不要な自転車で持ち主が所有権を放棄している場合は問題ありませんが、放置されただけの自転車である場合には、遺失物等横領罪に該当する可能性があります。以前は占有離脱物横領罪と呼ばれていました。刑法254条(遺失物等横領)では『遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処する』とされています。そもそも『遺失物』とは、落とし物など、占有者の意思に基づかず占有を離れ、誰にも占有されていない物を指します。他人が『占有』している物を奪うと窃盗罪になりますが、遺失物を自分のものにした場合、この遺失物等横領罪にあたる可能性があります。遺失物には電車の忘れ物、窃盗犯が放置した自転車、転倒して放置された酔っぱらいの自転車、誤りで多く受け取った金銭、誤配された郵便物などがあります」

Q.自転車を移動手段として使った後、元の場所へ返却した場合はどうでしょうか。

牧野さん「使用した後に返却するつもりだったとはいえ、自分の占有下に置いてしまったのですから、遺失物等横領罪は既遂となるでしょう」

Q.このような内容の看板を置く行為自体に問題はありませんか。

牧野さん「管理権があるわけでもない人や団体が、こうした内容の看板を置くことは前述した犯罪行為を助長することになるので、法的には遺失物等横領罪等のほう助罪(手助けした罪)にあたる可能性があります。『放置自転車シェアリング』の仕組みを法的に問題なく運営するには、自転車を持ち込んだ人(原則として所有者に限られる)が自分の所有する自転車の所有権を放棄、または管理団体へ譲渡している、もしくは一時的に無料で貸し出すことを証明し、それを管理する仕組みが必要だと思います」

(オトナンサー編集部)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。