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「世界観」なき若者へ 書を捨てよ、旅へ出よう【前編】

「近場で『1泊プチ旅行』なんて情けない」

 JTB総合研究所のデータによると、20代の海外旅行者が最も多かったのは1996年の460万人でした。ところが、2015年には250万人と著しく減少しています。男性が約100万人、女性が約150万人と、若者の海外旅行は「男低女高」傾向にあるようです。

 もちろん、若者人口全体の減少や不景気、雇用不安などにより、20代の可処分所得に余裕がないなど、海外旅行者数だけでは、「若者の意識が内向きになっている」とは言い切れないさまざまな要因があります。

 ただ、海外旅行者の主軸である40~50代の中高年層が微増しています。これは「若い頃の海外旅行体験」が下地になっていることは否めないでしょう。つまり、若い頃の経験則が経済的・時間的問題だけでなく、海外に行こうという心理的抵抗感のハードルを下げているというわけです。

 だから、余計に中高年層は「若い時の旅は借金してでもしろ。近場の温泉で『1泊プチ旅行』だけで満足なんて情けない」的な説教を若者にしたがります。じゃあ、「借金してまで若い時に海外へ行くメリットってなんだ」と若者に問われれば、「自分の世界観が広がるからだ」的な答えしかできません。若者にしてみれば、「世界観? はあ?」といった感じではないでしょうか。

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サイゴー・ヴァン・ウィンクル

辛口社会エッセイスト

1960年代生まれで学生時代は「新人類」と呼ばれた。バブルを満喫した一方で、暗黒の不況時代の辛苦も味わった「酸いも甘いも知り尽くした」悲しいジェネレーション。シニカルにして小心者。得意とするのは、池上彰が教えてくれない社会時評。ナポリタンと椎名林檎をこよなく愛する。

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