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友人に貸した時計が質屋に…取り返すことはできる?

友人にお金を貸してほしいと頼まれたものの経済力がなく、代わりに時計を貸しましたが、質草となって流れてしまいました。私は時計を取り戻せるのでしょうか。

流れた時計を取り戻すことはできるのか

 法律の専門家である弁護士が、私たちの暮らしに身近な事象についてわかりやすく解説します。今回のテーマは「流れた質草は取り返せるのか」、取材に応じてくれたのはアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士です。

「7年前、友人にお金を貸してほしいと頼まれ、当時自分もあまりお金がなかったので、父に譲ってもらった時計を貸すことにしました。友人は『時計が流れる前に必ず返す』と言っていたのですが結局、お金も返って来ず、時計も流れてしまいました」

「お金を支払って」と言う権利がある

Q.流れた質草(時計)を取り返すことはできますか。

岩沙さん「質屋からお金を借りて期限までに返済できなかった場合は法律上、質屋が質草の所有権を取得することとされています(質屋営業法19条1項)。今回のケースで友人は期限までに返済できなかったため、時計の所有者は質屋です。特に今回は、友人が質屋に入れることを相談者も了承しているため、相談者が所有者であると争うことも難しいでしょう。つまり相談者は所有権を失っているため、取り返すことは困難と思われます」

Q.友人にお金を返してもらうことはできますか。

岩沙さん「相談者は友人と、自分が時計を貸して、時計が流れてしまう前に返してもらう約束をしています。しかし、友人は約束を守ることができず、時計を返却することができなくなりました。相談者は本来、友人に『時計を返して』と主張する権利がありますが、その実現は事実上、不可能となっており、その代わりに『お金を支払って』と言う権利を持つことになります。つまり相談者は、友人に時計代金相当額のお金を請求できることになるでしょう。なおこの権利は、10年間行使しないと消滅してしまいます」

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岩沙好幸(いわさ・よしゆき)

弁護士

東京弁護士会所属。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ、不当解雇、残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に「ブラック企業に倍返しだ!弁護士が教える正しい闘い方」(ファミマドットコム)。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」(http://ameblo.jp/yoshiyuki-iwasa/)も更新中。頼れる労働トラブル解決なら<http://www.adire-roudou.jp/>。

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