走る車のボンネットに男性が乗るYouTube動画、法的にはどんな問題?
ボンネットに若い男性を乗せたまま走る車の動画がSNSに投稿され、批判を浴びました。非常に危険な行為であることは言うまでもありませんが、その法的問題はどのようなものでしょうか。

今年5月、ボンネットに若い男性を乗せて横浜市の国道を走る車の動画がツイッター上に投稿され、大きな批判を呼びました。
10~20代とおぼしき男性は最初のうち、ボンネット上で「危ない」「速い」などと怖がる様子を見せていましたが、次第にスピード感を楽しんでいる様子に。後ろを振り返って運転手に声をかけるなどし、停車後は助手席に駆け寄って笑っています。なお、動画を撮ったのは助手席の同乗者と推測されます。
この「3人」の行為が非常に危険であることは論を待ちませんが、法的にはどのような問題があるのでしょうか。アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞きました。
乗車方法を定めた道交法55条
岩沙さんによると、今回関係するのは道路交通法55条です。
同条は車両の乗車方法を定めており、運転者は乗車のための場所以外に人を乗車させて運転してはならないと規定しています。また、同乗者は運転者がこれに違反しないように乗車しなければなりません。ボンネットは乗車のための場所とはいえないため、運転者とボンネットの男性はいずれも同条違反。撮影した同乗者も幇助(ほうじょ)や共同正犯が成立する可能性があります。
今回のケースで、行政処分については、運転者に乗車積載方法違反で違反点数1点がつく可能性があります。また、反則金は原則6000円ですが、今回は少年法が適用されるため、家庭裁判所が定める6000円以下の金額に。刑事事件になった場合、運転者は「5万円以下の罰金」、ボンネットの男性と撮影した同乗者には「2万円以下の罰金または科料」が科される可能性があります。
それでは、もしもボンネットの男性が道路に落下して死亡、または負傷した場合、その責任はどのようなものでしょうか。
「運転者が損害賠償責任を負いますが、ボンネットの男性にも落ち度があるので、相当額が減額されるでしょう。ちなみに、このような悪ふざけ動画をSNSやYouTubeなどにアップしても法的問題はありませんが、違法行為を助長しうるため道義的には大きな問題です」(岩沙さん)
(オトナンサー編集部)
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