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チケット転売で懲役2年6月にSNS騒然「人が殺されて懲役1年4月なのに…」、弁護士の見方は?

音楽コンサートの電子チケットを転売目的で購入し、詐欺罪に問われた無職の男性に対し懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。SNS上には、業務上過失致死と比較して「重すぎるのでは」という意見も上がっています。

不正転売で懲役2年6月・執行猶予4年の有罪判決

 人気ロックバンド・サカナクションのコンサートの電子チケットを転売目的で取得したなどとして、詐欺罪に問われた無職の男性に対して、神戸地裁が9月22日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑は懲役2年6月)の有罪判決を言い渡したことについて、ネット上では「重すぎる」といった驚きの声が上がっています。

 報道によると、男性は昨年9月、サカナクションのライブの電子チケット2枚を転売目的で購入。同11月には、別のコンサートチケット16枚を購入し、計18枚を専門サイトで転売し約12万7000円の利益を得たといいます。この判決について、専門家の見方はどのようなものでしょうか。

 オトナンサー編集部では、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞きました。

電子チケット不正転売の摘発は全国初

Q.今回の判決をどのように見ますか。電子チケットの不正転売の摘発は全国初ということも判決に影響しているでしょうか。

岩沙さん「詐欺罪に関する過去の裁判例を見ると、前科のない被告人が金融機関から第三者に譲渡する意図で自己名義の預金通帳1通及びキャッシュカード1枚を詐取した事案で、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡されています。また、同様の行為を共犯者と行い詐欺4件で起訴された被告人に対して、懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡したものもあります。今回は懲役2年6月、執行猶予4年ですが、携帯電話を40回線も契約し、3年間で6000万円の売り上げがあることからすると、犯行は悪質かつ計画的で利益も多額、前述の詐欺4件に近い判決も不思議ではありません。社会問題となっている電子チケット不正転売の抑止効果としても、重い判決は意味があるのではないでしょうか」

Q.SNS上には「業務上過失致死で懲役1年4月、執行猶予5年なのに」といった声もあるようです。

岩沙さん「業務上過失致死罪の懲役刑は『5年以下』、詐欺罪は『10年以下』と定められています。確かに『死亡』と『不正に金銭を得ていた』という結果だけを比べると、業務上過失致死罪の方が軽いのは不均衡かもしれません。しかし、業務上過失致死罪は不注意で犯してしまった過失犯、詐欺罪は意図的に犯した故意犯という大きな違いがあります。過失犯より故意犯の方が悪質なので、詐欺罪の方が法定刑が重くても不自然はありません。ちなみに『死亡』の結果を意図的に生じさせる殺人罪は『死刑または無期もしくは5年以上の懲役』。詐欺罪よりも極めて重い法定刑となっています」

(オトナンサー編集部)

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)

弁護士

東京弁護士会所属。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ、不当解雇、残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に「ブラック企業に倍返しだ!弁護士が教える正しい闘い方」(ファミマドットコム)。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」(http://ameblo.jp/yoshiyuki-iwasa/)も更新中。頼れる労働トラブル解決なら<http://www.adire-roudou.jp/>。