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イベントなどでの「大食い」、体にどんな影響がある? 大食いファイターは努力次第?

「なせば成る」という言葉がありますが、人は努力をすれば「大食いファイター」になれるのでしょうか。大食いのリスクとともに医師に聞きました。

誰でも「大食いファイター」になれる?
誰でも「大食いファイター」になれる?

 会場が盛り上がりやすいため、イベントの定番となっている「大食い」。この10連休中にも、全国各地で大食いイベントが開催されているかもしれません。しかし、こうしたイベント参加者のほとんどは、いわゆる「大食いタレント」ではなく一般人です。大食いに慣れていない人が、普段食べない量を一気に食べると体にどのような影響が出るのでしょうか。また、人はやり方次第で「大食いファイター」になれるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

突然の大食いで吐き気や嘔吐も…

Q.大食いイベントに参加するとき、事前に食事を抜くなど意図的に空腹状態を作る人がいます。空腹のときに突然、大量の食べ物を短時間で食べると、胃や腸にどのような影響がありますか。

市原さん「突然、大量の食べ物を短時間で食べると、胃腸の働きが逆に鈍くなり、吐き気や、ひどい場合は嘔吐(おうと)の可能性があります。また、食べ物が胃に大量に入ることで胃酸の分泌が過剰になり、胸焼けや胃もたれなどを起こす可能性があります」

Q.血糖値にも影響があるのでしょうか。

市原さん「健康な人であれば、通常は食べ始めたタイミングで、血糖値を下げる働きのあるホルモンのインスリンが分泌され、しかも、食べた量に見合った量が分泌されるので血糖値が正常範囲を超えて上がることはありません。

しかし、大食いイベントなどで、短時間に過度の食べ物を摂取した場合、血糖値を下げる反応が正常に働かなくなる可能性が十分に考えられます。また、空腹の時間が長かった後に食べ物を大食いすると、食後の血糖値は通常よりも上がりやすくなります。一時的であれ血糖値の上昇が懸念されます」

Q.大食いに耐えられるかどうかは、食べ物の消化スピードが関係するのですか。

市原さん「胃における食べ物の消化スピードは、大食いに耐えられるかどうかに関係します。消化スピードが早ければ、食べ物を腸に早く送り出しやすいので、大食いには向いていると思います」

Q.一般的な食事量の人が、胃の活動を活発にさせるなど何らかの方法を行えば、いわゆる「大食いファイター」になれるのでしょうか。

市原さん「食べ物が胃に流入する量によって胃は伸び縮みします。しかし、一般的に胃そのものの大きさ自体は、誰であっても変わらないと考えられています。大食いができる人たちは、もともと胃が伸びて広がる程度が大きく、遺伝的要因が関係していると考えられます。何らかの方法で胃を伸び縮みさせる訓練をして習得できるような技はありません」

Q.大食いタレントのギャル曽根さんは、腸内のビフィズス菌の数が一般的な人よりもかなり多く、この影響で大食いが可能なのではないかとネット上に書かれていました。

市原さん「大食いできるかどうかは、胃の広がる大きさや、胃の中の食べ物をいかに早く腸に送り出せるかによります。ただ、ビフィズス菌が多く腸内環境が良いことで、排便回数が多くなり、さらに多く食べられることにつながっていることはあると思います。しかし、通常は腸内細菌の状態が良いことと、大食いに関係性はありません」

Q.全国各地で、相変わらず大食いイベントが開催されています。医師として、どのように思われますか。

市原さん「過去には、大食いを競っていた子どもが窒息によって亡くなるという痛ましい事故がありました。大食いで普段は食べない量の食べ物を一気に食べるということは、胃腸や血糖値に悪影響であり、医師としてはお勧めできません。参加するのであれば、自己責任になります。こうした大食い大会イベントの開催についても、必要以上の食料を摂取するということ自体、倫理的にどうなのか考えなければならないと思います」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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