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「離婚貧乏」~別れた悪妻への高額支払いに悩まされる2人の男性の悲劇(下)

養育費減額か、借金返済の一部肩代わりか…

「頑張れば何とかなると思っていたのですが、どうせ稼いでも前妻に持っていかれるので、モチベーションが上がらなくて…毎年のように減俸を食らっていて、今年も厳しいです。社内でも出世街道に乗り遅れてしまって本当に悔しいです!」

 隆盛さんはそんなふうに嘆きますが、昨年度の手取りは年520万円。養育費の192万円、借金の48万円を支払うと手元には280万円しか残りません。毎年の生活費ですが、家賃120万円、水道光熱費、通信費、医療費70万円、食費72万円で手元には何も残らない危機的な状況です。

「独身の時に貯めていた貯金は、離婚の時には何も残っていませんでした。離婚してから、一歩間違えれば奈落の底という生活で精神的にも肉体的にも疲弊しました」

 隆盛さんは、苦虫をかみつぶすように言葉を絞り出しますが、片田舎の細々と続く家族経営の零細企業は牧歌的。終身雇用なので窓際でも椅子を剥奪されずに安定しており、年功序列なので無能でも賃金は同一で安心でき、定期昇給が約束されているので満足です。人一倍の成果を上げてひともうけしたり、上司の機嫌を取って出世したり、気に入らない同僚を蹴落としたりする必要はありません。

 一方、都心で数千人の社員を抱える大企業は殺伐としています。会社に社員を守る余裕はなく、終身雇用や年功序列、定期昇給はとうの昔に廃止されました。成果主義の名の下、有能な社員が無能な社員の数倍の賃金を得るのは当たり前。窓際に椅子は置かれておらず、早期退職という名の肩たたきで容赦なく首を切りにかかります。殺される前に殺せという感じで、誰よりも先に出世の階段を上る以外に生き残るすべはありません。

 隆盛さんは年俸制ですが、成果報酬の割合が大きいので前年に比べ10%も年収が下がる年もあったそう。しかも、離婚のトラウマによって患ったうつ病が原因の無気力な仕事ぶりが災いし、出世街道を外れてしまったので、今後、下がった分を取り戻すのは容易ではなく、すでに頑張れば何とかなるという次元を超えています。

「68歳の母は大阪で一人暮らしをしています。本当は母を呼び寄せたいんですが、今のままじゃ到底無理です。本当に先々の生活が不安で不安で仕方がありません」

 隆盛さんは青白い顔で言いますが、残された手段は、前妻に頼んで養育費の月額を減らしてもらったり、借金の一部を出してもらうしかありませんが、逆に前妻から金の無心をされるのが怖くて二の足を踏んでいます。

 ここまで、2人の離婚貧乏談を紹介してきましたが、どのように思われたでしょうか。地方在住の圭太さんには、転職による収入減、再婚や子の誕生、都心在住の隆盛さんには、成績悪化による収入減という事情が離婚後、発生しましたが、どちらも諸悪の根源は、離婚時に決めた養育費などが高すぎて当時の収入に見合っていないこと。妻との離婚交渉において地域差はないので、「早く解放されたい」という一心で無理な条件をのまないことが肝要です。

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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