「離婚貧乏」~別れた悪妻への高額支払いに悩まされる2人の男性の悲劇(下)
借金500万円を抱えた妻と離婚
次に、全国で最も多い東京(47件、15%)です。同じ離婚貧乏でも、田舎と都会では何が違うのでしょうか。
「妻の帰りが遅い、子どもの教育観の違い、家事の負担など不仲の原因はいろいろありましたが、どうしても許せなかったのは借金です」
結婚生活の不満を振り返ってくれたのは、菊地隆盛さん(46歳)。妻の昼食は外食ばかりですが、都内の少しオシャレなお店でランチをすれば、3000円は下りません。ぜいたくしようとすれば青天井というのが都会の怖さです。浪費家の妻は「子どものそばにいてあげたい」という理由で、すでに息子さん(16歳)、娘さん(14歳)は手がかからない年頃なのに働こうとしなかったようです。
しかし、専業主婦の妻が女友達とのゴージャスランチを続けるだけの予算を持っているでしょうか。日々の生活を切り詰めてもたかが知れており、妻は隆盛さんに内緒でカードローンを使い込んでいたそうです。ランチ会をやめれば、浮いたお金を返済に回すことも可能ですが、妻は相も変わらず散財を続けたので、借金で借金を返す自転車操業に陥っていたのです。結局、妻が隆盛さんに「もう無理!」とざんげしたとき、借金は隆盛さんの名前で300万円、妻の名前で200万円に膨れ上がっていました。
「私名義で6社、妻名義で8社でした。妻は特定調停で相手にしてもらえなかったので自己破産の手続きを取り、私は特定調停で分割払いの手続きを取りました」
隆盛さんは、妻のせいで月4万円を10年間も返済せざるをえなくなったのですが、さすがに結婚生活を続けることは難しく、両親に相談し「離婚」という結論を出したのです。息子さん、娘さんの親権は妻が持ち、隆盛さんは前述の借金に加え、子1人あたり月8万円の養育費を支払うことを余儀なくされたのです。
「一度、公正証書にしてしまったら変更できないと思い、諦めて、歯を食いしばって払い続けてきました。あのときは精神的に追い詰められていて、弁護士などに相談せず、ひたすら妻から逃れたいという一心でした」
隆盛さんは必死の形相で訴えかけます。一極集中の日本において、人々は田舎から都会へ吸い寄せられるのですが、隆盛さんの住む東京は日本最大の都市なのだからなおさら。東京出身、東京在住ならともかく、地方から出てきた田舎者には何の縁もなく、親戚や旧友が隣近所に住んでいることもまれです。基本的には赤の他人同士なのだから「なあなあ主義」は通用せず、「信用」の2文字を頼って口約束では済まされません。「何があるか分からないから一筆交わさないと!」と疑いの目を向けられるのも無理はなく、隆盛さんは妻に言われるがまま、何の疑問も持たずに公正証書に署名してしまったのです。
公正証書には強制力があり、もし、隆盛さんが前妻の了承を得ず、養育費を減らしたり、止めたりした場合、給与を差し押さえられる危険があります。具体的には、会社が隆盛さんへ給与を支払う前に、会社が直接、前妻の口座に未払い分を振り込みます。残った分は隆盛さんの口座に振り込まれますが、いわゆる給与天引きが可能で、しかも、養育費の最終回まで自動的に天引きされるので絶望的です。
「上」の冒頭の通り、事情変更による養育費の見直しは法律で認められていますが、隆盛さんには、何が正しく何が間違っているのかを俯瞰(ふかん)するだけの余裕がありませんでした。


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