公務員男性から性的被害を受けた29歳女性、泣き寝入りせず「慰謝料」を手にした行動力(下)
「手紙作戦」の5つのポイント
しかし、このまま男に対して何もできないのは腹立たしい。何とか慰謝料を支払わせたい。そんな唯さんの気持ちに応えて、私は「男に手紙を送るのはどうでしょうか」と提案しました。男のフルネームと所属がわかるので手紙を送ることは可能です。
この時、男が唯さんの名前を知っていたら、手紙が届いても「あの女だ!」と反射的に手紙を破り捨てるでしょうが、唯さんは自分の名前を名乗っておらず、男が知り得たのは自宅の表札(苗字)くらいだと推察されます。
手紙の差出人がうろ覚えの女性なら「とりあえず開けてみよう」と開封し、中身を一読するかもしれません。そこで私は唯さんに「手紙作戦」を提案したのです。慰謝料を支払わせるための手紙作戦のポイントは「人事院への懲戒手続」「引っ越し費用等の上乗せ」「セカンドレイプの禁止」「原状回復できない現実」「守秘義務との引き換え」です。
1つ目のポイントは「懲戒手続の予告」です。公務員は、公務員法によって、禁錮以上の刑に処された場合、失職します。例えば、国家公務員の場合は国家公務員法によって、禁錮以上の刑に処されると失職するのです。
参考)国家公務員法76条
職員が第38条各号の一(禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者)に該当するに至つたときは、人事院規則に定める場合を除いては、当然失職する。
前述の通り、男の犯行は強制性交等罪に該当すると思われます。実刑となれば懲役5年以上です。今回の件が刑事裁判に発展し、男が懲役刑に処された場合、上記の「禁錮以上の刑」に該当するため失職は免れません。そして、刑事裁判が長引き、裁判係争の最中であっても懲戒手続を進めることが認められています。
参考)国家公務員法85条
懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。この法律による懲戒処分は、当該職員が、同一又は関連の事件に関し、重ねて刑事上の訴追を受けることを妨げない。
男はもしかすると、表向きは良識ある常識人だと周囲の人間から認識されているかもしれません。しかし、実際には非常識で非情で卑劣極まりない人間だと唯さんは言います。公務員という仕事から離れた途端、本性をあらわにするだろうと。
「男の本当の姿を知ってほしいんです」と涙ながらに訴える唯さんは、「万が一、男が慰謝料を支払わない場合、覚悟を決め、警察に事件のことを話す」という内容を手紙に書き込んだのです。


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