オレンジ、ピンク…色付きの「薬」 なぜ製造? 心理的なメリットも 薬剤師が解説
多くの医薬品に色が付いているのはなぜなのでしょうか。薬剤師に聞きました。
市販薬や処方薬を見ると、白色の薬がある一方で、オレンジ色やピンク色など、色が付いている薬もあります。なぜ色付きの薬が製造されるのでしょうか。薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。
成分量を識別
Q.医薬品の中にはオレンジやピンクなど、色付きの薬がありますが、なぜなのでしょうか。
真部さん「ほとんどの医薬品は、本来、白色をしているんですね。つまり色素で色付けをしているということなのですが、なぜそんなことをするのかというと、いくつかの理由があります。
まず、配合する成分の都合上、色が付いてしまうことがあります。また、同じ薬であっても成分量の違いによって色分けをして、分かりやすくしているというケースもありますね。これは識別性を高めるという意味で、処方する人にとって同じ薬の容量の違いが分かりやすくなるほか、高齢者などの誤飲防止といった意味もあります。
また、小児科などで使われる子ども用の薬は、心理的にカラフルな色に興味を持ちやすいという理由で、色が付けられていることもあります」
Q.透明なカプセルの薬を見ると、中にある粒にもカラフルな色が付いていることがあります。どのような理由が考えられますか。
真部さん「これも先ほど話した内容と重なりますが、『同じ薬でも、成分の含有量の違いを識別しやすくするため』『子どもに興味を抱いてもらいやすいため』『他社製品との差別化を図るため』などの理由から、色が付けられていると思われます。一方、添加物を極力減らす目的やコストを削減する目的などで色が付けられていない製品もあります」
Q.薬の色によって、飲みやすさに違いはあるのでしょうか。
真部さん「色の効果として、黒や青、真赤などは口に入れるのをためらうような心理効果があるため、日本で製造される薬ではあまり採用されない色といえますね。白が多いのは、『薬=白色』というイメージを多くの人が抱いており、口に入れやすいということもあると思います。
ただし、淡い赤やオレンジといった暖色の色味は、子どもとって興味を示してもらいやすい色なので、採用されることがあります。また、青や灰色などは食欲を抑制する心理効果があるため、薬ではほとんど採用されません。しかし、睡眠薬などの中には、犯罪への悪用防止のためにあえて青色にしている薬もあります」
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なお、海外で製造される薬は、カラフルな色の製品も少なくないのだそうです。国によっても違いがあるんですね。
(オトナンサー編集部)
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