「冷却シート」は“熱中症予防”に効果ナシ…注意点を医師が解説 役立つグッズも
熱中症予防に効果的なグッズは?
Q.熱中症を予防するには、どうしたらよいのでしょうか。
安藤さん「熱中症予防は、『日常生活で行う予防』と『暑い場所に行く前の予防』に分けられます。『日常生活で行う予防』で有効なのは、『小まめな水分補給』『程よい塩分摂取』『質の良い睡眠』『バランスの良い食事』といった、日々の習慣の見直しです。
最近では、スマートウオッチなどの端末による体調管理のほか、環境省の公式サイトでの暑さ指数の確認なども有効でしょう。この段階での冷却シートの出番は、残念ながらありません。強いて言えば、睡眠の質を改善させる目的での使用でしょう。
それに対して、暑い場所に行く際は、『水分と塩分の補充』と『体温コントロール』が予防の中心となります。体温コントロールのためには『涼しい服装』『帽子や日傘の使用』『日陰の利用』などが基本となります」
Q.熱中症予防に効果的なグッズはありますか。
安藤さん「暑い環境下で大切なのは、『失った水分とミネラルを補充すること』『深部体温(体内部の体温)を下げること』の2つです。前者は、スポーツドリングや経口補水液の摂取が効果的なので、ここでは後者に対して有効なグッズを紹介します。
まずは『ミスト機能付きのハンディーファン』です。近年、ハンディータイプの扇風機を持ち歩く人が増えましたが、屋外で使用すると汗が蒸発する前に乾いてしまうため、気化熱で体温が下がらないほか、熱風を体に当ててしまうため、実は使い方を間違えるとかえって熱中症を助長してしまいます。その点、ミスト機能付きの製品は、ミストにより気化熱が生じ、体温を下げるため効果的です。
太い血管を冷やすという意味では、『ネッククーラー』もお勧めです。最近販売されている製品は機能性が高く、冷却シートよりも高い冷却力があり、ある程度、深部体温を下げる効果があります。
さらに、深部体温を下げるのにお勧めなのが『手のひら冷却グッズ』です。手のひらには『動静脈吻合(ふんごう)』という、大量の血液が流れている場所があり、この部分が体温調節に大きな役割を果たしています。ここを冷やすことで冷えた血液が全身を回り、深部体温を下げることができます。ペットボトルなどでも代用はできますが、おしゃれで持続性の高いグッズがたくさん売られているので、ぜひ利用してみてください。
このほか、ぬれた手ぬぐいやタオルで汗を拭いたり体の表面を湿らせたりすれば、水分が蒸発した際に体温が下がるため、十分に熱中症対策になります。最近は水分を含ませて振ることで表面が冷える高性能の冷却タオルがあるため、こちらを首に巻いたり汗を拭いたりして使用するのもお勧めです」
(オトナンサー編集部)
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