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飲み過ぎのリスクは? 選び方のポイントは? 「栄養ドリンク」の成分と効果、専門家が解説

栄養ドリンクを選ぶポイントは?

Q.一方で、栄養ドリンクだからこそ摂取しやすい栄養素もあるのでしょうか。

岸さん「特定のアミノ酸や生薬、漢方成分は食事から摂取するよりも簡単に取れますが、バランスのよい食事をしていれば、不足するような栄養素はありません」

Q.栄養ドリンクの選び方のポイントとは。

岸さん「疲労感を何とかしたいときに飲む場合は、過労時に多く消費されてしまうビタミンB1を含むビタミンB群や、抗酸化作用のあるビタミンCやEを、より強い疲労感がある場合はタウリンやウコンを多く含む商品を選ぶとよいでしょう。タウリンは筋肉細胞へのダメージや酸化ストレスを軽減します。ウコンは肝臓に作用して老廃物の処理を促進し、疲労回復や血流改善に効果を発揮します。ニンジンやローヤルゼリー、ジオウといった滋養強壮生薬成分は、特に体力が低下したときに摂取するとよいでしょう。

また、人工甘味料や香料など添加物の少ないものを選ぶことも大切です。含まれている成分や効能をよく見て、自分の体調や目的に合ったものを選ぶようにしましょう。

忙しいときにそうはいっていられないこともよく分かりますが、疲労そのものを解消するには、あくまでも栄養バランスのよい食事を取り、睡眠時間を十分に確保することが大切です。栄養ドリンクによる疲労回復効果は一時的なものに過ぎず、有効成分の血中濃度が下がると、服用前より疲労感を強く感じることもあります。体に何らかの影響を与えるものには、有益な作用のみならず、有害な作用もあるものです。

栄養ドリンクは、ここぞというときに使う“お助け役”なので、常用はお勧めできません。いざというときの切り札として、用法用量を守りながら上手に利用しましょう」

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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