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栄養ドリンク、「加齢」とともに効果を実感しづらくなるって本当? 真偽を内科医に聞いてみた

疲労の緩和や眠気覚ましに飲む人も多い「栄養ドリンク」ですが、加齢とともに効果を感じづらくなっている人もいるようです。実際のところはどうなのか、内科医に聞いてみました。

疲労時の味方だけど…
疲労時の味方だけど…

 疲労感があるときや眠気を感じたとき、もうひと頑張りしたいときに飲む人も多い「栄養ドリンク」。疲労の緩和や眠気覚ましなど、飲むことでプラスの効果を感じる人も多いことでしょう。しかし一方で、「昔ほど効果を感じない気が…」「年齢のせい?」など、栄養ドリンクの効果を実感しづらくなったと感じている人もいるようです。

「栄養ドリンクの効果は、加齢とともに感じづらくなる」のは本当なのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

カフェインの摂取頻度が関係?

Q.そもそも、人はなぜ「疲労」を感じるのですか。

市原さん「体内でエネルギーがつくられるときに発生するのが、活性酸素です。通常は『抗酸化力』によって活性酸素は取り除かれますが、過度な運動や精神的疲労で体に負担がかかったときには、この活性酸素が過剰になります。これによって細胞の機能が低下し、疲労感が生じると考えられています」

Q.疲れを感じているときに栄養ドリンクを飲み、「疲労感が和らいだ」と感じるメカニズムとは。

市原さん「糖質に含まれるブドウ糖はエネルギー源です。栄養ドリンクに含まれていることの多いビタミンB1は、ブドウ糖がエネルギーに変換されるのを助けます。同様に、多くの栄養ドリンクに含まれるアミノ酸の中にも、疲労に関する物質を減らす働きがあるものが含まれます。

ただし、栄養ドリンクで『疲れが取れた』と感じる効果の中には、一時的なものが多いです。糖類の摂取で一時的に血糖値が上昇することで疲労感が和らぎますし、カフェインは中枢神経を刺激することで、一時的に眠気を覚ましたり、疲労感を和らげたりします。栄養ドリンクによっては少量のアルコールが含まれているものもあり、アルコールによって、一時的に気分が高揚することも考えられます」

Q.加齢とともに、栄養ドリンクの効果を実感しづらくなることは実際にあるのですか。

市原さん「加齢と栄養ドリンクの効果に関連性はないと思います。疲労感は個人差が大きいものですし、体の状態や、栄養ドリンクを飲んだタイミングなどさまざまな要素が絡んでいるので、一概にはいえません。

ただし、栄養ドリンク中のカフェインの効果によって、一時的に『疲労感が緩和された』と感じていた人の場合、カフェインを頻繁に摂取することで、効果を感じにくくなります。そのため、長年、栄養ドリンクを常用してきた人が結果的に栄養ドリンクの効果を実感しづらくなることはあるでしょう。

栄養ドリンクは、飲んだことによる精神的効果もあります。頻繁に飲むと効果を感じにくくなるので、飲むのであれば、たまに、元気が欲しいときに“お守り”のような気持ちで飲む方がいいと思います」

Q.栄養ドリンクを飲んでも疲労感がとれないときは、どうすればよいですか。

市原さん「疲労感を伴う病気には、うつなどの精神科領域のものや、がんや糖尿病、甲状腺疾患などがあります。疲労感が続く場合は病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せず、病院を受診して相談してください」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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