眞子さま、小室圭さんと結婚 渡米へ 皇族の「パスポート」はどうなっている?
眞子さまと小室圭さんの結婚報道の中で「皇族はパスポートがない」との記述がありました。パスポートなしで、これまで、英国留学や海外での公務の際はどうしていたのでしょうか。

秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんの結婚について、「10月にも婚姻届を出す方向」との報道がありました。小室さんは米国の法律事務所に就職する見通しとされ、眞子さまも渡米することになりそうですが「皇族はパスポートがない」との報道もあります。パスポートなしで、これまで、英国留学や海外での公務の際はどうしていたのでしょうか。「皇族のパスポート」について、佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。
「外交旅券」をその都度発給
Q.「皇族はパスポートがない」というのは事実でしょうか。なぜ、パスポートを持っていないのでしょうか。
佐藤さん「『皇族はパスポート(旅券)がない』というのは事実です。より正確にいえば、『私たちが持っているようなパスポートは持っていない』ということです。パスポートには、旅券法上、『公用旅券』と『一般旅券』の2種類が定められており、私たちが普段、所持しているのは、有効期間が5年や10年など限定された一般旅券になります。
一般旅券の発給申請には、戸籍謄本(戸籍の内容すべてを写したもの)、または戸籍抄本(戸籍内容の一部を写したもの)を提出しなければならない(旅券法3条)とされており、法律上、パスポートの発給には戸籍の存在が前提とされています。しかし、皇族の身分関係は『皇統譜』によって登録されており(皇室典範26条)、皇族は戸籍法の適用を受けず、戸籍がありません。こうした事情もあり、皇族には、国民が一般的に用いられているパスポートがないのです」
Q.では、皇族が公務などで海外へ行く場合はパスポートなしで渡航しているのでしょうか。
佐藤さん「皇族が海外へ行く場合はその都度、『外交旅券』という特別なパスポートを発給してもらう必要があります。外交旅券とは、皇族、外交官、大臣などの政府高官が公務で渡航する場合に交付されるもので、表紙が濃い茶色をしています。外交旅券は先述した旅券法の公用旅券に含まれます。
なお、天皇陛下と皇后陛下はパスポートの所持が必要ではありません。国際慣習上、国家元首はパスポートが必要ないとされており、天皇陛下は海外では元首としての扱いを受けるからです。元首の配偶者である皇后陛下も同様です」
Q.皇族の人たちが私的に外国へ行きたい場合はどうなるのでしょうか。
佐藤さん「皇族の場合、私的に外国へ行く場合も外交旅券が発給されることになるでしょう。国内にいる外交官が観光旅行などの私的目的で海外旅行をする場合は、一般旅券を使用することとされています。しかし、先述した通り、皇族は一般旅券を発給してもらうことができないので、外交旅券を発給してもらう必要があります。
なお、海外にいる外交官が赴任国以外の外国に観光などの私的目的で旅行する場合も、外交旅券が使用されているようです。一般旅券と外交旅券を二重で携行することやトラブルを避ける必要があるからだとされています」
Q.眞子さまが小室圭さんと結婚して、渡米する際、どのような手続きの流れが想定されるか、教えてください。
佐藤さん「婚姻届の提出後、眞子さまは皇族の身分を離れることになり(皇室典範12条)、皇統譜に皇族の身分を離れたことが登録されます。そして、小室さんとの戸籍が作られ、パスポートの新規発給手続きが可能となります。婚姻による皇籍離脱後、赤坂御用地にある宮邸で暮らすことは難しいため、一時的に別の場所に滞在し、その間にパスポートの発給を含め、渡米準備を進めると報じられています」
Q.ちなみに、結婚前に小室さんに会うため、渡米することはできるのでしょうか。
佐藤さん「結婚前であっても渡米することは可能です。しかし、結婚前の場合、眞子さまは皇族なので、国民と同じようなパスポートを作ることはできません。そこで、先述した外交旅券を発給してもらい、渡米する必要があります。その他、入国手続きなどが円滑に運ぶよう、外務省を通じた事前調整が必要になったり、渡米について記者発表をするかなどの検討があったりと、気軽に会いに行ける環境ではないように思います」
Q.眞子さまが結婚して渡米することについて、通常の結婚と違う点がほかにあれば、教えてください。
佐藤さん「日本国憲法1条では、天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する日本国民の総意に基づくと定められており、今の日本では天皇だけでなく、皇族も含め、特別な地位と受け止められ、国民から尊敬されるような『あるべき姿』が求められているといえるでしょう。
そのことの是非については天皇や皇族の人権をどう考えるのかという問題と関連し、これからも議論されていくのでしょうが、少なくとも今、眞子さまのご結婚に関しては国民が不安に感じているさまざまな問題について、国民に対し、何らかの説明があった方がよいのではないかと感じます。本来であれば、多くの国民が祝福できる状況で、結婚をされることが望まれているといえるでしょう」
(オトナンサー編集部)
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