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いつでも「閉店セール」のお店にだまされた…どんな対応が可能か?

「だまされた」…どう対処すべきか?

 それでは「閉店セール」のうたい文句につられて商品を購入したものの、お店がその後も閉店せず、「だまされた」という思いを抱いた人はどうすべきでしょうか。

 牧野さんによると、仮にお店が景品表示法に違反しても、監督官庁が業者を行政上規制するだけであり、同法は消費者が救済を受けるための具体的な法的権利を定めた法律ではありません。

 そこで、刑事上の救済ですが、刑法上の詐欺罪(10年以下の懲役)が成立するためには、詐欺によって財産上不法な利益を得ることが必要です。「閉店セール」の看板につられて商品を相場価格、または相場よりも安い価格で購入した場合、お店は財産上不法な利益を得ていないため、詐欺にあたる可能性は低くなります。一方で、割高で購入した場合は、財産上不法な利益を得たとは一応言えますが、「閉店セール」の看板と、商品を割高で買うことの因果関係を証明することは困難です。

 次に、民事上の救済ですが、「閉店セール」のうたい文句だけでは、明確にだます意図があったとは言えないため、民法上の詐欺にはあたりません。消費者は、「閉店セール」といって店舗へ立ち寄ることはあっても、それまで購入する気のなかった商品を購入する気になることは通常ないからです。

 ただし「消費者契約法により契約を取り消せる可能性はあります。同法では、消費者が『誤認』した場合、消費者に契約の取消権を認めており、閉店商法は誤認にあたる可能性があるからです。たとえば、単に『閉店セール』と掲げるだけでは『誤認させた』とまでは言えませんが、閉店セールだから絶対に市価より安いなどと勧誘すれば、『誤認させた場合』に該当しうるでしょう」。

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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