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“マスク嫌い”トランプ氏感染 マスクの効果と着け方、改めて医師に聞く

新型コロナウイルスの感染者が世界最多の米国で、マスクを嫌っていたトランプ大統領が感染、一時入院しました。改めて、マスクの正しい着け方を医師に聞きました。

マスクを着けずに最高裁判事候補の指名式典に臨んだトランプ大統領(2020年9月、AFP=時事)
マスクを着けずに最高裁判事候補の指名式典に臨んだトランプ大統領(2020年9月、AFP=時事)

 米国のトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し、一時入院しました。トランプ氏は感染判明前、ほとんどマスクをすることなく、執務や選挙活動をしており、9月下旬の最高裁判事候補の指名式典では同氏の他、多くの人々がマスクを着けずに出席し、複数の感染者が発生。集団感染の可能性も指摘されています。マスクの不着だけが感染の原因とは言い切れませんが、リスクが大きかったことは確かです。

 日本では、政権幹部はほぼ全員がマスクをしており、市民もマスクの着用がある程度常識化してきていますが、気になるのは、マスクの上部から鼻の穴が見えている人や顎にマスクを掛けて口や鼻が完全に出ている人、マスクをずらして、たばこを吸っている人の姿が目立つことです。トランプ氏のようにマスクを着けない人はもちろんですが、マスクが口や鼻を覆っていない人もリスクが高いのではないでしょうか。

 内科医の市原由美江さんに聞きました。

「鼻出し」は感染予防効果なし

Q.新型コロナウイルスの感染予防におけるマスクの効果について、改めて教えてください。布マスクと不織布マスクについて、それぞれお願いします。

市原さん「布マスクはガーゼなどを重ねて作られているので繊維の目が粗く、細菌やウイルスが通過しやすい構造です。周囲から着用者自身に対する感染予防の効果はかなり低いですが、着用者自身がせきをしたり、会話をしたりする際の飛沫(ひまつ)を周囲に拡散させない効果は期待できるため、感染拡大予防の目的で使用するのは有効です。

一方、不織布マスクは繊維の目が布マスクより細かく、5マイクロメートル(1000分の5ミリ)程度の粒子を止めることができます。ウイルスや細菌を含む飛沫は5マイクロメートル程度なので、着用者自身への感染予防効果を期待できます。布マスク同様に飛沫の拡散も防げます」

Q.マスクの上部から鼻の穴が見えている人や顎にマスクを掛けて口や鼻が完全に出ている人、マスクをずらして、たばこを吸っている人の問題点は。

市原さん「会話やせきをしたときに周囲へ飛沫を拡散させないためのマスクの装着方法としては、鼻だけ出ている場合も効果はあります。ただし、飛沫を浴びたときに自分の感染を予防するという観点からは意味がありません。顎にマスクを掛けて口や鼻が完全に出ている人やマスクをずらして、たばこを吸っている人は周囲に飛沫を拡散させないことについても、自身の感染予防についても、いずれも意味がありません」

Q.マスクの正しい装着の仕方を教えてください。

市原さん「不織布マスクの場合、ノーズフィッター(鼻の形に合わせて折り曲げられるワイヤ)が上になるようにして顔にあて、耳にマスクのひもを掛けます。マスクの下部分を顎の付近まで広げて、全体が顔にフィットするようにします。ノーズフィッターは鼻の形に合わせて曲げます。マスクと顔の間の隙間がなるべくできないようにするのが大切です。

布マスクの場合は、鼻と口全体がマスクで覆われる位置になるよう、ひもの長さを適切に調整します。飛沫感染拡大予防の観点から、布マスクでもマスクと顔の間の隙間がなるべくないようにしましょう」

Q.マスクの理想的な使用法を教えてください。マスクが入手しにくかった時期は不織布マスクも再利用せざるを得ない状況でしたが、マスクの流通が回復した現状を踏まえてお願いします。

市原さん「本来は小まめに交換することが理想です。例えば、人混みの中にいた後や食事でマスクを外した後など、気になるときに交換する方が感染リスクは抑えられます」

Q.確かに、食後は不織布マスクを交換した方が理想的とは思いますが、使い捨ての「マスク入れ」を提供する飲食店も増えてきました。マスク入れがあれば、食事前に一度外したマスクの継続使用は問題ないのでしょうか。

市原さん「マスクが不足していた時期に不織布マスクの再利用は致し方なかったことですが、本来、不織布マスクは再利用すべきではありません。例えば、マスクの表面にウイルスが付着していた場合、マスク入れに入れたとき、そのウイルスがマスクの内側やひもなど別の箇所に付着する可能性があります。その場合、再度マスクを着けたとき、ウイルスが口や鼻、手に付着することになります。再利用するのであれば、アルコールスプレーを吹きかけるなど対策をしましょう。

布マスクの場合も、複数持ち歩いて小まめに交換したり、一度外したらアルコールスプレーを吹きかけたりするなど注意が必要です」

Q.その他、マスクを使う際の注意点はありますか。

市原さん「マスクを着けているとき、マスクの表面を触らないことが大切です。マスクの表面にウイルスが付着している可能性があり、それが手に付着し、さらに口や鼻に入ってしまう恐れがあるからです。マスクがずれてきて、手で位置を直すしぐさを何度もする人がいますが、それはそもそもマスクのサイズやひもの長さが合っていないからです。最初にマスクを着けたとき、きちんと顔にフィットしているか確認し、必要なら、マスクのひもの長さを調整しましょう」

(オトナンサー編集部)

【写真】マスクの正しい着け方/誤った着け方

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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