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「高齢者向け分譲マンション」で新型コロナ感染者が出ない理由

運動不足やストレス対策も

 今回のコロナ禍で、高齢者にとってもう一つ問題となったのは、外出自粛による運動不足やストレスの蓄積でした。高齢になると筋力の衰えが早い上、一度衰えた筋力はなかなか戻りません。また、交流がないと抑うつ傾向が強まります。中楽坊でも、運動イベントや各種サークルが全て休止されたので、この点をどうしていくかを入居者と検討したそうです。

 対策の一つは、館内放送を使った「ラジオ体操」。集まって“密”にならないよう、自宅の玄関前で体操をしているそうです。もう一つは、マンション周辺にウオーキングコースを8つ設定し、全て制覇したら景品がもらえるという企画。このウオークラリーの参加者は、入居者の半数近くになるそうです。いずれも、運動不足と孤独の両方を解消できる、いい企画だと感じます。

 中楽坊の話から感じるのは、コミュニティーの存在とその重要性です。いざというときには、バラバラで行動するのではなく、全体で話し合って決め事を守る。不便や困り事があれば皆で知恵を出し、助け合い、励まし合う。コミュニティーには危機に際して、しなやかに対応できる強さがあると改めて感じさせられます。

(NPO法人・老いの工学研究所 理事長 川口雅裕)

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川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

NPO法人「老いの工学研究所」理事長

1964年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルートグループで人事部門を中心にキャリアを積む。退社後、2012年より高齢者・高齢社会に関する研究活動を開始。高齢社会に関する講演や執筆活動を行うほか、新聞・テレビなどのメディアにも多数取り上げられている。著書に「だから社員が育たない」(労働調査会)、「チームづくりのマネジメント再入門」(メディカ出版)、「速習! 看護管理者のためのフレームワーク思考53」(メディカ出版)、「なりたい老人になろう~65歳から楽しい年のとり方」(Kindle版)など。老いの工学研究所(http://oikohken.or.jp/)。

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