オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

わが子を周りと比較、ないものねだりをする「比べる病」はどう克服する?

物差しを「他人のもの」から「自分のもの」へ

 褒め言葉にも注意が必要です。

「徒競走、1番になって偉いね。みんなより努力したから優勝したのよ」

「○○君のこと、見てごらん。勉強していなかったから成績が悪いでしょ。それに比べて、あなたは普段から努力しているから、成績優秀になったのね」

「○○君は好き嫌いしているから、あんなに小さいのね。でも、あなたは何でもよく食べるから、いつも元気で背も伸びているのね」

 こんなふうに育てられると、自分よりできない子どもをばかにするようになってしまいます。さらに、自分ができなくなったときに「自分には価値がない」と思うようにもなります。自己肯定感や自信を付けさせるための褒め言葉が、もろく崩れてしまう心を育ててしまっているのです。

 わが子を優秀な他の子どもや理想像と比べることは、オリンピック選手と競わせているようなもの。他人の子どもの物差しをあてがうことをやめて、子ども自身の「過去」と「今」を比べてみましょう。「過去」は2年前、半年前、1週間前でも構いません。

 他人の物差しを捨てることにより、わが子のちょっとした成長にも気付くことができるようになりますよ。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

1 2

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

コメント