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体の不調も? ネガティブなコロナ関連情報で参らないために、対策を精神科医に聞く

連日のように、新型コロナウイルス感染症の報道が行われていますが、ネガティブな情報で不安になることも多いです。精神的に参らないためには、どうしたらよいのでしょうか。

緊急事態宣言に関するニュースを見る人たち(2020年4月、時事)
緊急事態宣言に関するニュースを見る人たち(2020年4月、時事)

 連日、テレビのワイドショーやニュースで多くの時間を割いて、新型コロナウイルス感染症関連の情報が伝えられ、ネットニュースやSNSのタイムラインにも新型コロナ関連の情報が並んでいます。

 とりわけ、「新規感染者がこれまでで最多」といったネガティブな情報が多く、こうした情報に触れることで不安を感じる人もいるのではないでしょうか。不安な日々が続くと精神的によくないと多くの人は理解していると思いますが、生活に関わることでもあるため、情報を遮断することも困難です。

 新型コロナの報道で精神的に参らないためには、どうしたらよいのでしょうか。精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。

いらいらして攻撃的に、おなかの不調も

Q.ネガティブな内容が多い、新型コロナウイルス関連の報道を見て不安になる日が続くと、体調に何らかの異変が現れますか。

田中さん「メディアには現在、新型コロナ情報があふれ、ネガティブな情報過多の状況が続いています。誰でも多くの不安な情報にさらされると、『自分には解決できない』『何もかも対処困難だ』と思うようになり、心身にストレス反応が出現することがあります。

これらは『適応障害』の状態と言ってもよいかもしれません。例えば、睡眠障害、食欲低下などの症状がみられます。心配事を抱えてなかなか眠りに入れなくなり、悪夢を見たり、何度も途中で起きたりすることもあるでしょう」

Q.こうした症状は突然、現れるものなのでしょうか。何か異変を知らせるサインが、事前に体のどこかに出ることはあるのですか。

田中さん「睡眠や食欲に変化が現れているということは、すでに自律神経がバランスを崩しているので、異変を知らせるサインが出ているのではないかと考えられます。このサインを捉えて適切に対処すれば、いわゆる『コロナ疲れ』にならずに済むでしょう。

具体的には(1)何でもないことにいらいらを感じる(2)攻撃的な言葉遣いになってしまう(3)下痢が続いたり、ひどい便秘になったりする(4)お酒をつい飲み過ぎてしまう――です。普段なら、何でもないことにいらいらを感じるようになったら危険信号です。

世の中にはさまざまな人がいて、さまざまな考え方があると十分に理解して生活している人が多いはずですが、新型コロナの感染拡大の影響で職場や家庭、学校の状況が一変し、さらにネガティブな情報にさらされると、わずかなことにもいらいらし始め、『ひどいことだ』『駄目な人たちだ』と周囲に対して攻撃的になります。

また、意外に忘れがちなサインとして、下痢、便秘といったおなかの不調があります。さらに、過度な飲酒も危険信号です。これについては、場合によっては精神科の受診が必要かもしれません」

Q.世界保健機関(WHO)も「メディアが発信する新型コロナの情報から離れることも大切」としています。新型コロナの報道で、精神的に参らないためにはどうしたらよいでしょうか。

田中さん「『新型コロナの報道によるコロナ疲れとは、ある種のストレス反応である』という仮説のもと、対処法を整理してみたいと思います」

【メディア情報過多への対処】

最も大切なことは『必要な情報をきちんと入手した上で、外出自粛をすること』です。現在、目まぐるしく状況が変化しているため、情報を完全に遮断するわけにはいきません。必要な情報はきちんと手に入れましょう。その際、不安になってとことん調べるタイプの人は、情報を見る方法と時間をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

また、夜遅くに布団に入ってから、新型コロナの情報を熱心に見るのは禁物です。寝つきが悪くなり、悪夢を見る確率が上がります。

【仕事・家事・勉強の環境変化への対処】

もし時間があれば、ノートに「これまで通りでいいこと」「これから変える必要があること」を書き出すとよいでしょう。そこから「今できること」を抜き出し、いつやるか、ルーティン化できるかなどを検討します。

例えば、もし、休校中の子どもがゲームばかりになっていたら、これから変えなければいけないのは『勉強すること』ですし、子どもと相談しながら『平日の午前中、お昼ご飯まで、○○を勉強する』といった決まり事をノートに書くといいでしょう。

家事も仕事も、同じようにして取り組んでみるといいかもしれません。ただし、今は非常時なので100点を目指さず、ハードルを下げて最低限をクリアすればよしとしましょう。

【体調管理】

睡眠リズムを整え、バランスのよい食事を取り、適度な運動を行うことは、健康を維持するための基本です。ポイントをまとめますが、これらは連動しているので、どこから取り組んでも効果がみられることを覚えておきましょう。

・早寝早起きのリズムを作る。「早起き→早寝」の順でトライするとよい
・日中、少なくとも30分以上、明るい場所で過ごす
・寝る2時間くらい前に入浴。なるべく湯船につかる
・朝食を取り、午前中から動けるモードをつくる
・1日、あるいは1週間で、野菜、肉、魚などをバランスよく食べるように心掛ける
・早食いせず、ゆっくりかんで食べるようにする
・特に、夜は食べ過ぎに注意する
・1日、あるいは1週間で、ウオーキング、ジョギングなどの運動を定期的に行う

【対人コミュニケーション不足への対処】

SNSを活用して、友人、同居していない家族とコミュニケーションを取るとよいでしょう。できれば、文字以外にも声を使って話すのがよいです。お互いに安心できる相手とは「お休みなさい」と文字を打つよりも、声に出して「お休み」と言う方が癒やしの力は大きいと思います。1日、あるいは1週間に10分でも30分でもいいので、安心できる相手と通話する時間を決めるとよいでしょう。

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田中伸一郎(たなか・しんいちろう)

医師(精神科専門医)・公認心理師

1974年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。赤光会斎藤病院、東京大学医学部付属病院精神神経科、杏林大学医学部精神神経科学教室などを経て、現在は、獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科准教授。「誰もがこころの問題を理解し、互いに助け合うことのできる社会づくり」を目指し、精神医療の最前線で老若男女の患者を日々診療しながら、メディアを通じて正しい知識を普及すべく活動の場を広げている。

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