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理由なく涙が…気分が落ち込む… 「うつ病」と診断される“境界線”はどこ? 精神科医に聞いてみた

日頃から悩みを抱えていたり、気分が落ち込む、なぜか涙が出てくるといった症状があったりしたら病院へ行った方がよいかもしれません。そこで、精神科専門医に「うつ病」と診断される“境界線”について聞きました。

「うつ病」と診断される“境界線”とは
「うつ病」と診断される“境界線”とは

 なぜか夜になると気分が落ち込む、仕事でうまくいかない、なんだか気分が晴れず、体がだるいなど、さまざまな感情や気分を感じている人もいるのではないでしょうか。これらの感情や気分の症状を抱いていても、病院やメンタルクリニックに「行くまでではないよな…」と思っている人もいると思います。そこで、どのような症状を感じたら病院に行くべきなのか、そして、医師は患者のどのような症状を診た時にうつ病と診断するのかなどについて、子どもや学生のメンタルも診療する精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。

うつのような症状は「誰でも経験」

Q.まず、「うつ病」とはどのような病気なのでしょうか。

田中さん「うつ病とは、心身が不調となって日常生活に支障が出る精神障害の内の一つです。例えば、理由もなく、涙が止まらない、気分が落ち込む、喜怒哀楽を感じない、趣味や娯楽を楽しめない、イライラして気持ちばかり焦る、自分を責める、本気で死にたいと思うなどのメンタル不調がみられます。

それと同時に、睡眠障害、体重が落ちるほどの食欲不振、疲れっぽい、意欲が出ないなどの体調不良が何週間にもわたってほぼ毎日みられるのがうつ病の特徴です」

Q.医師は、どのような症状を読み取って、「うつ病」と診断するのでしょうか。“境界線”のようなものがあったら教えてください。

田中さん「ひとまず押さえておきたいのは、『うつ』のような症状は誰でも経験することがあっても、『うつ病』となると誰でも発症するわけではない、ということです。例え、うつの症状が同時に複数みられる場合でも適応障害などの、ストレス反応によるうつ状態にとどまることが少なくありません。そこからさらに生物学的な変化が加わって(例えば、脳内におけるセロトニンなどの働きが障害される、などの仮説が提唱されています)、日常生活にも著しい支障が出てきて初めて、うつ病の発症が疑われることになります」

Q.では、改めて、自身でどんな症状を感じたら、受診を考えるべきだと思いますか。

田中さん「先に述べたように、多彩なうつ症状が同時に複数みられ、健康を取り戻すために映画を見て気分転換するなどの自己対処をしたり、ストレスフルな環境に働きかけて何とかストレスを軽減させたり、誰かに相談して励ましてもらったりしても一向に好転しないようなら、病院やメンタルクリニックを受診することを考えましょう。適応障害、あるいは軽度のうつ病を発症している可能性があります。

その他、お店で食べ物を選ぶときにどれがいいか決められなくなったり、判断力が鈍っていつもならやらないような凡ミスを繰り返すようになったりするのも、何でもないのに涙が止まらなくなったりしているのも、危険信号です。

また、最近注目されている『風呂キャンセル界隈』などの、セルフケアが何日もできなくなってくる場合も、適応障害やうつ病の始まりかもしれないので、注意が必要です」

“自分がうつ病になるはずがない…”という過信はせず、もし、悩みや不安を抱いていたり、うつ病の特徴に該当する症状を感じていたら病院やメンタルクリニックを受診しましょう。

(オトナンサー編集部)

【えっ?】「うつ病」と診断される“境界線”… “危険信号”の例がコレです!

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田中伸一郎(たなか・しんいちろう)

医師(精神科専門医、産業医)・公認心理師

1974年生まれ。久留米大学附設高等学校、東京大学医学部卒業。杏林大学医学部、獨協医科大学埼玉医療センターなどを経て、現在は東京芸術大学保健管理センター准教授。芸術の最先端で学ぶ大学生の診療を行いながら、「心の問題を知って助け合うことのできる社会づくり」を目指し、メディアを通じて正しい知識の普及に努めている。都内のクリニックで発達障害、精神障害などで悩む小中高生の診療も行っている。エクステンション公式YouTubeチャンネル内「100の質問」(https://youtu.be/5vN5D9k9NQk)。

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