「落書き」「枝切り」「おでんツンツン」…こんな行為まで“器物損壊”だった
「塀に落書きする」「商品のおでんを指でつつく」。何だか「いたずら」の一種のような行為ですが、法律上はいずれも「器物損壊」という罪に問われる可能性があります。今回は過去に同罪が成立した、一風変わった(?)行為について学びます。

タレントの所ジョージさんが所属する事務所の塀に「死ね」などと落書きした男が警視庁に、コンビニのおでんを指でつついた男が愛知県警にそれぞれ逮捕された事件が世間の大きな注目を集めました。
いずれも逮捕容疑は「器物損壊」(「おでん」は威力業務妨害容疑も)。落書きも指で食べ物をつつく行為も、人の迷惑を顧みない許せない犯罪ですが、これらが「器物損壊」と言えるほどに“重々しい”かというと少し違和感がありませんか。これには「損壊」という言葉が持つ重み、イメージが関係しているのかもしれません。
そこで今回は法律の勉強を。器物損壊の罪に問われうるユニークな(?)行為について、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞きました。
「ペットを傷つける」などのケースも
岩沙さんによると、器物損壊罪が成立するのは「物の効用」を害する行為をした場合。過去の珍しい判例としては「食器に放尿する」「自動車のドアハンドルの内側やフェンダーの裏側に人糞を塗りつける」「鯛と海老を描いた幅物に『不吉』と墨で大書する」などでいずれも「効用を害する」と判断されたそうです。
また「服に体液をかける」「他人のペットを傷つける」「隣家の庭から伸びてきた木の枝を勝手に切る」などのケースで成立する可能性も。判例では、「歌碑にペンキやパテを塗りつける」「窓ガラスに多数のビラを貼る」などもあるといいます。
器物損壊行為が罰せられる理由としては「物の財産的価値や効用の保護」が挙げられるとのこと。その法定刑は「3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料」です。なお器物損壊罪は親告罪であり、被害者の告訴がなければ公訴は提起されません。
岩沙さんは「器物損壊罪はちょっとしたいたずらや嫌がらせでも成立する可能性があります。軽々しい行為は慎みましょう」としています。
(オトナンサー編集部)
コメント