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きょうから「脳卒中週間」 冬だけでなく、夏に脳卒中が多い理由は?

冬に多いイメージのある脳卒中ですが、実は6~8月にも多いそうです。予防策などを医師に聞きました。

暑い夏も脳卒中が多い?
暑い夏も脳卒中が多い?

 5月25~31日は「脳卒中週間」。冬に多いイメージのある脳卒中発症者が、実は6~8月にも多いことから、「夏も脳卒中に注意を」と警告するために、公益社団法人日本脳卒中協会が提唱しています。また、脳卒中には高齢者の発症が多いイメージもありますが、SNS上では、20~30代の発症が増えているとの声もあります。脳卒中について、医師の市原由美江さんに聞きました。

冬は脳出血、夏は脳梗塞が多い

Q.「脳卒中」とは、そもそもどのようなものか教えてください。

市原さん「脳卒中とは、脳の血管が傷害されることで脳の機能に影響を及ぼす病気の総称で、(1)脳梗塞(2)脳出血(3)くも膜下出血に分けられます。血管が詰まるのが脳梗塞、血管が破れるのが脳出血、血管にできたこぶの破裂が原因として多いのがくも膜下出血です」

Q.脳卒中が起きる原因や仕組みを教えてください。

市原さん「脳梗塞は、動脈硬化によって脳の血管が詰まったり、心臓などから血栓(血のかたまり)が流れてきて脳の血管が詰まったりします。動脈硬化の原因になる高血圧や糖尿病、脂質異常症の人、たばこを吸う人、『心房細動』という、心臓に血栓ができやすくなる病気の人に起こりやすいです。脳出血を起こしやすいのは、高血圧の人です。くも膜下出血は、脳動脈瘤(りゅう)や血管の奇形、外傷によって起こります」

Q.季節的には、冬の病気というイメージがありますが、なぜでしょうか。また、夏場も多いのでしょうか。

市原さん「冬は寒さによって血管が収縮して血圧が上がりやすくなるため、脳出血を起こしやすくなります。脳卒中の中でも、昔は脳出血の人が多かったので『冬に脳卒中が多い』というイメージにつながったのではないでしょうか。

一方、夏に多いのが脳梗塞です。暑さの影響で脱水になりやすく、いわゆる『血液がドロドロ』の状態となり、血栓ができやすく、血管が詰まりやすくなるからです」

Q.20~30代の脳卒中患者が増えているのは事実でしょうか。

市原さん「若い人の脳卒中は、『脳動静脈奇形』という病気や、『もやもや病』など、もともと、脳の血管の奇形や異常がある場合が多いです。若い世代の脳卒中が増えているという明確なデータはありませんが、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因で起こる脳卒中は中高年に多く、生活習慣病の若年化によって若い世代の脳卒中が増えている可能性はあります」

Q.どんな症状が出たら、脳卒中を疑った方がよいのでしょうか。

市原さん「顔や手足がしびれる、手足が動かしにくい、しゃべりにくい、目が見えにくい、めまいや歩行障害、激しい頭痛などが急に起こった場合は脳卒中を疑って、救急車を呼びましょう」

Q.脳卒中の予防法はありますか。どんな点に注意して日常生活を送ればよいのでしょうか。

市原さん「高血圧、糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化につながる病気にならないよう、バランスの良い食事、適度な運動を行いましょう。すでにこれらの病気になっている場合は、数値をなるべく正常範囲内にとどめられるよう努力しましょう。喫煙は脳梗塞のリスク要因なので禁煙しましょう。

特に、夏場は脱水による脳梗塞の可能性があるため、水分摂取をこまめに行い、脱水を防ぎましょう。冬は、寒暖の差で血圧が急上昇して脳出血になる可能性もあるため、屋外に出るときは防寒対策をしっかりしましょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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