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女性だけじゃない! 男性に起こる「更年期障害」のメカニズム・症状・治療法

糖尿病の男性は高リスク

Q.男性更年期の治療方法は。

内田さん「『AMSスコア』による評価に加え、血中のテストステロン値を測定・診断し、治療方針を決めます。数値が低ければテストステロンの補充療法、正常値であれば漢方療法や精神科薬物療法などの治療をそれぞれ行うことがあります。

ただし、テストステロンの補充療法は、前立腺がんや前立腺肥大を悪化させる可能性が指摘されており、心血管疾患のリスクも増大するため慎重に行います。よほどのホルモン不足の場合を除き、漢方療法などでマイルドに症状の改善を図るのが一般的です」

Q.発症しやすい男性の特徴はありますか。

内田さん「最もリスクが高いと言われるのは、糖尿病の患者さんです。糖尿病はインスリンの不足、もしくはインスリンの抵抗性(インスリンによる糖の吸収が悪くなる状態)が増大することで発症します。内臓脂肪が増加するとテストステロンの産生が抑制され、それにより、筋肉量の減少や肥満など糖尿病悪化の原因が進むことになります。このように、糖尿病と男性更年期は相互の状態を悪化する要素となっています。

糖尿病予防のために、生活習慣に気を配りましょう。たとえ糖尿病と診断されても、糖質制限をはじめとする食生活や、適度な運動を行うなど、糖尿病を重症化させない生活習慣が、ひいては男性更年期の予防にもつながります」

Q.男性更年期の症状を放置すると、どうなりますか。

内田さん「EDなどの症状については、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の低下を来すことがあるにせよ、直接生命にかかわるような重大な障害を来すことはありません。しかし、テストステロンが低下すると筋肉量・骨量が低下し、代謝に悪影響を及ぼすほか、肥満や糖尿病のリスクを増加させます。高齢者の場合は、骨折のリスク上昇や寝たきりの原因となるため、特に注意が必要です。すぐに悪影響が出なくても、QOL・長期的な健康リスクの両観点から、適切な治療と診断が求められます。

また、先述のように、うつ病が隠れている場合もあり、自らが疾患を認識しないまま症状が進行して自殺に及ぶこともあり得ます。医学的な介入があれば、自殺の予防も可能なので、油断は禁物です」

Q.発症を周囲に相談できず、一人で苦しむ男性も多いようです。

内田さん「男性更年期の診断では、内視鏡検査などの大きな検査はありません。質問や診察のほか、数年に1回程度、ほんの少しの採血で診断が可能です。そのため、最初は泌尿器科に限らず、内科などかかりつけの病院で検査できるケースもあります。

“男性更年期”という言葉だけを聞くと、何となくEDをイメージしたり、性にまつわるイメージを持ったりするかもしれませんが、実際は単なるホルモンの不足であり、そこまで難しい病気ではありません。『AMSスコア』が高かった人は“軽い気持ち”で、かかりつけの医師に相談してみてはいかがでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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内田玄祥(うちだ・げんしょう)

医療法人幸のめばえ、静岡レディースクリニック、三島レディースクリニック理事長

国立病院東京災害医療センター・国立病院東京医療センターにて産婦人科等に勤務の後、旧厚生省入省。医政局、健康局、社会・援護局等で病院経営管理、救急医療政策、障害保健福祉、医療安全等の政策立案を担当した後、山梨県健康増進課長として地域の感染症対策、がん・生活習慣病対策や母子保健政策・不妊症対策の充実にも従事する。夫婦で不妊症治療を経験したことから、官僚としてではなく医師として現場で不妊医療に寄与していくことが重要と考え、厚生労働省近畿厚生局医事課長の後、国立循環器病センター等を経て現職。

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