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「不妊治療」のいま 検査から治療、かかる費用まで

これまで、あまりオープンにされて来なかった「不妊治療」。では、実際に不妊治療にはどのような種類があり、どれくらいのお金がかかるのか。また、男性側が不妊の原因と考えられる場合、どのような検査や治療があるのか。最新の動向も踏まえて詳しく紹介します。

そもそも「不妊」とは

 「不妊」はこれまで、世界保健機関(WHO)によって、一般に2年間、「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく性生活を行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合」と定義されてきました。しかし、2009年に、期間を2年間から1年間に短縮することが発表され、日本産科婦人科学会も2015年8月に定義を変更しました。

 この背景には、妊娠年齢が上昇してしまうため、早期に治療に臨んでほしいとの意図があります。また、厚生労働省は2015年11月、女性の不妊治療のみが対象であった助成金について、男性の治療に拡大することを検討する、と発表しました。不妊が女性だけの原因ではなく、男女ほぼ同率であることが背景にあります。

 しかし、残念ながら、不妊治療はいまだに“オープン”な存在ではなく、また、女性だけが努力をしていることが多いのが現状です。高齢になれば、妊娠・出産に伴うリスクが高くなるのは事実。女性の自然流産率は30~34歳が10%であるのに対し、35~39歳で20.7%、40歳を過ぎると41.4%にまで上昇します(虎ノ門病院産婦人科1989.1〜1991.7データ 母体年齢と流産 周産期医学vol.21 no.12,1991-12)。

 また、あまり知られていませんが、男性も高齢になるにつれて精子の健康状態が低下し、妊娠に影響を与えると言われます。「仕事が楽しい」「旦那さんとの時間を大切にしたい」などの理由から、「いつかは赤ちゃんが欲しいけど…」と優先度が下がりがちが女性が増えていると言われますが、「欲しい」と思った時に悔しい思いをしないためにも、夫婦間できちんと話し合い、ライフプランを立てることが重要です。

 実際に妊娠を望んでもかなわない場合、何を目安に受診すればよいか迷ってしまうかもしれません。まずは、女性は自分の体の生理周期を知ることが第一です。日々の基礎体温やおりものの変化を見たり、排卵検査薬を活用したりするとよいでしょう。

 基礎体温をつけることで、おおよその排卵日を特定することが可能です。体温は月経期~卵胞期の「低温期」と、黄体期の「高温期」を繰り返しますが、低温期から高温期に変わる際、一時的に体温がぐんと下がります。そのタイミングが排卵期です。

 また、排卵期が近づくと、おりものの量は増え、粘り気のあるものに変わっていきます。市販されている排卵検査薬を併用すると、より精度が高まるでしょう。その上で、妊娠の可能性が最も高い、排卵日を含む前後2~3日間(排卵期)にセックスをしてみましょう。それでもなかなか妊娠しない場合、赤ちゃんを望むのであれば早めに医療機関を受診することが大切です。

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内田玄祥(うちだ・げんしょう)

医療法人幸のめばえ、静岡レディースクリニック、三島レディースクリニック理事長

国立病院東京災害医療センター・国立病院東京医療センターにて産婦人科等に勤務の後、旧厚生省入省。医政局、健康局、社会・援護局等で病院経営管理、救急医療政策、障害保健福祉、医療安全等の政策立案を担当した後、山梨県健康増進課長として地域の感染症対策、がん・生活習慣病対策や母子保健政策・不妊症対策の充実にも従事する。夫婦で不妊症治療を経験したことから、官僚としてではなく医師として現場で不妊医療に寄与していくことが重要と考え、厚生労働省近畿厚生局医事課長の後、国立循環器病センター等を経て現職。

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