「不妊治療」のいま 検査から治療、かかる費用まで
男性が受ける不妊検査
女性の不妊検査が最低1カ月かかるのに対し、男性の検査は基本的に1日で終わります。性欲の有無や勃起・射精などセックスに関する問診のほか、精液の状況を調べる精液検査のみで済みます。
検査では、病院や自宅で採取した精液を提出します。検査で見るのは以下の項目です。
・精液の量
・精子の濃度
・精子の運動量
・精子の形態
精液は2~7日射精をしない状況で採取します。病院で行う場合は個室が準備されており、マスターベーションによって精子を採取します。プライバシーには厳重に配慮している機関がほとんどです。自宅から持参する際には原則、採取後2時間以内に。どうしても精液採取に抵抗がある場合は、女性が行うフーナーテストでも代用可能です。
精子は医師をはじめ、専門の検査技師・胚培養士がカウントし、WHOの基準と照らし合わせて診断します。基準値は以下の通り。
精子量:1.5ml以上
精子濃度:1500万/ml以上
総精子数:3900万/射精以上
総運動率:40%以上
正常精子形態率:4%以上
精液検査によって異常が見られた場合は泌尿科的検査に進みます。
診察
不妊症に関連する疾患の有無などの問診に加え、精巣の診察、精巣の大きさや、男性不妊の原因となる可能性が高い精索静脈瘤の有無をチェックします。
男性不妊スクリーニング検査
精液異常の原因を突き止めるために、血液検査により、テストステロン(男性ホルモン)や性腺刺激ホルモン(LH、FSH)、プロラクチンを調べます。勃起障害や射精障害がある場合にも有効です。また、糖尿病が勃起障害や射精障害(逆行性射精)などの原因となることがあるため、HbA1cなどの糖尿病関連検査を実施することがあります。
染色体検査
極端に精子が少なかった場合や無精子症の場合に受けます。染色体の異常によって、精子がうまく作られないことがあるためです。重症精子減少症の男性の7%、無精子症の男性の18%に染色体の異常が見られると言われています。また、精子を作る上で重要とされているY染色体の遺伝子検査を行うことで、精子を採取できる可能性の有無が判明することもあります。基準値は46XY。
超音波検査
プローブと呼ばれる器具で陰嚢(いんのう)に触れながら調べます。痛みはありません。これによって、精子を作る能力や病気の有無がわかります。
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