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「不妊治療」のいま 検査から治療、かかる費用まで

かかるお金と助成金

 不妊治療には、健康保険の適応となるものもありますが、原則としてタイミング療法と一部の検査だけで、その対象は残念ながら多くはありません。

 治療を受けるクリニックによっても金額はさまざまです。また、時間をかけて複数回にわたることも少なくなく、ある程度の金額が必要なことを念頭に置きましょう。ただし、高額な医療費には医療費控除制度があり、不妊治療に対する国や地方自治体の助成金も充実してきています。

▼治療費の目安

タイミング療法

 保険の適用内となることがほとんどで1回5000円程度。ただし、保険がきく回数が限られているため、回数が増えるとその分金額は大きくなる

人工授精

 保険適用外。1周期につき2~4万円が目安

体外受精

 保険適用外。1回20~50万円だが、国や地方自治体から助成金が出ることがあるので確認を

顕微授精

 保険適用外。1回40~60万円と体外受精よりも少し高額。体外受精同様、助成金制度の対象となることも

▼負担を軽減するシステム

医療費控除

 不妊治療に限らず、日本では1年間(1月1日~12月31日)の医療費が家族で合計10万円を超えた場合(※)、確定申告をすれば支払った税金の一部が戻ってきます。

 具体的には「実際に支払った医療費から保険金を除いたもの」から、さらに10万円(×所得税率)を差し引いた金額です。

計算式:(1年間で実際に支払った医療費–保険金などで補填された金額)−10万円×所得税率

※世帯所得が200万円未満の場合は所得金額の5%。治療費だけでなく、通院にかかった交通費や薬代も含まれるため、領収書は保管しておきましょう

特定不妊治療助成制度

 不妊治療には国から助成金が出る制度があります。対象となるのは体外受精と顕微授精で、この治療を「特定不妊治療」と呼びます。医師によって特定不妊治療をしなければ妊娠が難しいと診断された夫婦が対象となり、2016年1月現在、厚生労働省により制度の見直しが行われています。

 2018年度以降は新制度での運用となり、治療開始段階で妻の年齢が40歳未満の場合は1回最高15万円を合計6回、40歳以上43歳未満の場合は合計3回助成されますが、43歳以上の女性は対象外となります。

 2016、2017年度に治療を始める場合は、治療開始段階で妻の年齢が40歳未満で1回最高15万円を合計6回は変わらず、40歳以上の場合、2016年度の治療開始は2016年度に3回、次年度以降2回の合計5回まで、2017年度治療開始は2017年度に3回のみ助成されます。

 また、住まいの都道府県や市町村によっては、厚生労働省の制度に助成金額を上乗せしたり、所得制限や年齢制限を緩和したりしている場合もあります。

 そのほか、男性不妊や不育症(妊娠はするが流産を繰り返す)に対する助成金などを設けている自治体もあります。自治体によって大きく助成内容や対象が異なりますので、詳しくは市町村の保健センターなどに問い合わせましょう。

(オトナンサー編集部)

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内田玄祥(うちだ・げんしょう)

医療法人幸のめばえ、静岡レディースクリニック、三島レディースクリニック理事長

国立病院東京災害医療センター・国立病院東京医療センターにて産婦人科等に勤務の後、旧厚生省入省。医政局、健康局、社会・援護局等で病院経営管理、救急医療政策、障害保健福祉、医療安全等の政策立案を担当した後、山梨県健康増進課長として地域の感染症対策、がん・生活習慣病対策や母子保健政策・不妊症対策の充実にも従事する。夫婦で不妊症治療を経験したことから、官僚としてではなく医師として現場で不妊医療に寄与していくことが重要と考え、厚生労働省近畿厚生局医事課長の後、国立循環器病センター等を経て現職。

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