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無痛分娩の麻酔「お酒に強い人は効きにくい」って本当?→産婦人科医に聞いてみたら《真偽》が判明

「お酒に強い女性は、無痛分娩の麻酔が効きにくい」。そんなうわさを信じ、不安を抱いている女性は少なくないようです。産婦人科医に真偽を聞いてみた結果……。

無痛分娩の麻酔は「お酒の強さ」と関係あるの…?
無痛分娩の麻酔は「お酒の強さ」と関係あるの…?

 分娩スタイルの一つとして選択する人が増えてきている「無痛分娩」。その選択には、費用面、希望する産院での実施状況などが考慮されることが多いですが、妊婦さんの中には「麻酔が効きにくい体質だったらどうしよう」という不安を抱いている人もいます。中には、「お酒に弱い人は麻酔が効きやすいって聞いたことある」「私、お酒強い方だから無痛分娩にしてももったいないかも…」など、「お酒の強さ」との関係を気にする声もあるようです。

 実際のところ、「お酒に弱い女性は、無痛分娩の麻酔が効きやすい」、また「お酒に強い女性は、無痛分娩の麻酔が効きにくい」というのは本当なのでしょうか。神谷町WGレディースクリニック院長で産婦人科医の尾西芳子さんに、真偽について教えていただきました。

「アルコールを分解する酵素」と「麻酔薬を分解する酵素」は同じ

Q.まず、無痛分娩について教えてください。

尾西さん「無痛分娩は、腰の部分に麻酔薬を入れることで、陣痛や分娩の痛みを軽減する方法です。やわらかいチューブを背骨の横から留置し、麻酔薬の量を調節していきます。

無痛分娩の方法には『完全無痛』と『和痛』があります。完全無痛は文字通り、陣痛が来る前に麻酔を入れてしまい、痛みを感じることなく分娩する方法です。一方、現在多くの病院で行われている無痛分娩は、和痛になります。

和痛分娩はある程度の陣痛(「少し痛むかな」程度の痛み)が起きてから麻酔を入れることで、分娩をスムーズに行う方法です。というのも、麻酔を入れると、子宮の収縮も弱まるため、ある程度陣痛が起きて子宮の入り口が開いてきた頃に入れる方が、陣痛が止まったり、分娩までの時間が長引いたりするリスクを減らせるためです。

無痛分娩の費用は地域によっても異なりますが、通常の分娩にプラス10万〜20万円程度のところが多いようです」

Q.無痛分娩では痛み軽減のために麻酔を使用しますが、「麻酔の効きやすさ」にはやはり個人差があるのでしょうか。「お酒に強い人は効きにくい」という声もあるようですが……。

尾西さん「このようなうわさを耳にすると、『麻酔が効かなかったらどうしよう』という不安もあると思うのですが、お酒の強い・弱いにかかわらず無痛分娩は効くのでご安心ください。

『お酒が強い人は麻酔が効かない』という説があるのは、肝臓でアルコールを分解する酵素(チトクロームP450)と麻酔薬を分解する酵素が同じであるため、アルコールを常飲してその酵素が増えることで、麻酔薬も代謝されやすくなってしまい、麻酔の作用が弱まってしまうから―という解釈によるものと考えられますが、これは全身麻酔の場合の話であり、無痛分娩には当てはまりません。

無痛分娩で使用される麻酔は『硬膜外麻酔』と呼ばれるもので、背骨の神経の周りの『硬膜外腔(こうまくがいくう)』という場所に麻酔薬を直接注入します。血管に入る場合と違って肝臓を通らず、硬膜外腔では代謝されないため、お酒が強い・弱いにかかわらず効果があります」

【実際の写真】「すごい……!」 これが体外に出てきた「胎盤」の見た目です(閲覧注意)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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