「不妊治療」のいま 検査から治療、かかる費用まで
治療その3「体外受精/顕微授精」
人工授精で妊娠できなかった、あるいは、女性が35歳を過ぎているケースでは、体外受精、顕微授精という選択肢があります。そのほか、卵管閉塞、受精障害、男性不妊、子宮内膜症や重度の排卵障害・多のう胞性卵巣(PCO)の女性、といったケースでも考慮されます。
体外受精は、精子と卵子を子宮内ではなく、体外で受精・培養させてから子宮に移植する治療法です。一般的な治療プロセスは以下の通りです。
①排卵誘発
卵巣の状態や卵巣年齢、患者の希望によって排卵誘発剤の使用量を無刺激~高刺激まで決定します。
②採卵・採精
卵子が成熟したら、排卵日の直前に採取します。腟壁から卵胞に針を刺して吸引する方法ですが、麻酔を使用することもあります。
③受精
受精方法によって「体外受精(自然受精)」「顕微授精」と呼び方が変わります。いわゆる体外受精はシャーレなどに卵子と精子を入れ、自然に出合わせる手法。一方、顕微授精は、顕微鏡を使って、細いガラス管で卵子に精子を注入する方法です。体外受精で受精卵ができない、男性の精液の状態がよくないなどのケースに実施されます。
④培養
受精卵は専用の培養液で培養されます。細胞分裂が始まると受精卵は「胚」と呼ばれ、2~6日かけて4分割胚、8分割胚、桑実胚、胚盤胞になります。胚盤胞まで育つ可能性は平均30~50%と言われます。
⑤胚移植
4~8分割胚以降まで育ったら、質のよい胚を選んで子宮内に移植します。分割胚の段階で移植するよりも、着床直前の胚盤胞を移植する方が、より妊娠率が高まるとされています。良質な胚を冷凍保存し、別の周期にホルモンの状態を調整した上で融解したものを移植することもあります。

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