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WHOが緊急事態宣言、急拡大する「ジカ熱」の恐ろしさとは

世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を出すなど、中南米を中心に猛威をふるう「ジカ熱」。とりわけ、妊婦が罹患すると胎児が「小頭症」になる可能性があることが判明し、日本に住む私たちも注意が必要です。

 2月2日、世界保健機関(WHO)が中南米を中心とした「ジカ熱」の急激な拡大に対し緊急事態宣言を出しました。また、ブラジル政府は同日、今年8月に開催されるリオデジャネイロ五輪における妊婦の観戦自粛を呼び掛けました。

 ジカ熱(ジカウイルス感染症)は、日本脳炎やデング熱と同じように、これに感染した蚊を介して人にうつりますが、症状は発熱や頭痛、関節痛などそれほど重くはなく、死亡例も報告されていません(2月15日現在)。

 それにもかかわらず、その脅威が連日のように報じられているジカ熱。その一番の要因は、妊婦が罹患すると胎児が「小頭症」になる可能性が高いことがわかってきたことにあるようです。

「小頭症」で流産や死産のリスクも

 「小頭症」は、胎児の脳が十分に発育できていない状態を指します。その結果、流産や死産のリスクが高まり、無事に産まれてきたとしても知的障害の症状が現れたり、すぐに死んでしまったりするとされています。

 この小頭症とジカ熱の関連性はまだ明確ではありませんが、ジカ熱患者が増加するブラジルでは昨年10月以来、既に4000件を超える小頭症の発症例(疑い含む)が見つかっています。このため、各国は「ジカ熱が小頭症を発症する可能性が高い」と見て対策を急いでいます。

 日本政府は、ジカ熱を感染症法の「4類感染症」(人から人への感染はほとんどないが動物・飲食物などを介して人に感染し、健康に影響を与える恐れのある感染症)に指定。2月15日以降は、感染が見つかった場合、医師が届け出ることになり、それに応じた対策が講じられる予定です。

対策は過剰でも「十分でない」

 今年8月にリオデジャネイロ五輪が開催されるブラジルでは、妊婦の観戦自粛を呼び掛ける動きが広がっています。このブラジル政府の対応について、医師の内田玄祥さんは「適切な判断」とし、「ジカ熱にかからないことが重要であることは間違いありません。妊娠を先延ばしにするよう勧告している国もあるほどで、過剰と思われる措置でも十分ではありません」と警告します。

 では、日本の妊婦さんたちはどのようなことに注意が必要でしょうか。内田さんはこう話します。

 「流行地域には行かないこと。また、ジカ熱だけでなく、風疹(ふうしん)やトキソプラズマ、サイトメガロウイルスなど、胎児に影響を与える感染症はいくつもあります。日ごろから対策を十分に」

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内田玄祥(うちだ・げんしょう)

医療法人幸のめばえ、静岡レディースクリニック、三島レディースクリニック理事長

国立病院東京災害医療センター・国立病院東京医療センターにて産婦人科等に勤務の後、旧厚生省入省。医政局、健康局、社会・援護局等で病院経営管理、救急医療政策、障害保健福祉、医療安全等の政策立案を担当した後、山梨県健康増進課長として地域の感染症対策、がん・生活習慣病対策や母子保健政策・不妊症対策の充実にも従事する。夫婦で不妊症治療を経験したことから、官僚としてではなく医師として現場で不妊医療に寄与していくことが重要と考え、厚生労働省近畿厚生局医事課長の後、国立循環器病センター等を経て現職。