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「不妊治療」のいま 検査から治療、かかる費用まで

男性側の治療

 不妊の原因は男女半々と言われています。男性側に原因があることがわかったら、治療を始めましょう。

 男性の不妊因子としては、精子が作れない精子形成不全や無精子症、精子の運動量が不良な精子無力症、また精子に問題はないもののセックスに至ることができない勃起障害などがあります。

薬物療法

 クロミフェン。女性の排卵誘発剤として使用する、ゴナドトロピンという性腺刺激ホルモンに関する薬で、精子の産生機能にも効果があります。クロミフェンは錠剤です。男性不妊で使う際には自費となってしまいます。ホルモン検査で異常を認めない精子減少症などに効果が期待できます。

ゴナドトロピン療法

 HMG製剤、r-FSH製剤といった性腺刺激ホルモンを補充し、精巣での精子形成を促します。脳下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌低下症による男性不妊においては、極めて効果が高い治療です。非閉塞性無精子症(精子を作る機能に問題がある)の場合でも、TESEなどの術前に、HCG製剤などと組み合わせて行う場合があります。

TESE精巣精子回収術

 精巣から精子を直接回収する手術。無精子症(非閉塞無精子症=精子を作る機能に障害がある)や重度の精子無力症、また勃起障害の男性に適しています。入院の必要はなく、回収した精子は冷凍保存が可能です。

MESA精巣上体精子回収術

 手術によって精子が貯蔵されている精巣上体から精子を取り出す方法です。適応となるのは、精子は作れているが精管がふさがっている「閉塞性無精子症」の人。この手術で精子を回収できないケースでは、TESEが行われることもあります。そのほか、漢方薬やビタミン剤で生殖機能の改善を図る「非ホルモン療法」などを行っているクリニックもあります。

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内田玄祥(うちだ・げんしょう)

医療法人幸のめばえ、静岡レディースクリニック、三島レディースクリニック理事長

国立病院東京災害医療センター・国立病院東京医療センターにて産婦人科等に勤務の後、旧厚生省入省。医政局、健康局、社会・援護局等で病院経営管理、救急医療政策、障害保健福祉、医療安全等の政策立案を担当した後、山梨県健康増進課長として地域の感染症対策、がん・生活習慣病対策や母子保健政策・不妊症対策の充実にも従事する。夫婦で不妊症治療を経験したことから、官僚としてではなく医師として現場で不妊医療に寄与していくことが重要と考え、厚生労働省近畿厚生局医事課長の後、国立循環器病センター等を経て現職。

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